とらふすクラシック・238
ニューイヤー・ベートーヴェン
~悲愴×月光×ワルトシュタイン~
ピアニスト 木谷悦也
ベートーヴェン生誕250周年であった2020年にはベートーヴェンの作品を取り上げた演奏会が各地で催されました。私も久しぶりに本格的なクラシックコンサートを企画してべートーヴェンを取り上げてみたいと思いました。しかし昨年開催された紀の国わかやま文化祭において3つの公演に参画、ピアノを練習する時間はとれないと思い今回の演奏会となりました。
私はオペラの仕事を主にしてきたのでこれまでベートーヴェンの作品とはあまり縁がありませんでした。(ベートーヴェンのオペラ作品は「フィデリオ」1曲のみです。)しかし交響曲はよく聞いてきました。幼い頃母親がよく演奏会に連れて行ってくれましたが、交響曲の最初の3分で寝てしまうことが多かったのを覚えています。
その後成長するにつれベートーヴェンの交響曲に目覚めて20代から30代の頃はほぼ毎日聞いていました。ベートーヴェンの交響曲を聴いていると‘神さま(宇宙をつかさどる絶対的な存在)’は本当にいるんだなという気になれるのが大好きです。これは感覚的なもので自然と涙が出てくるくらい強い力をもらえます。
ベートーヴェンが生きた時代(1770~1827)はいろんな社会的変化起きた激動の時代です。フランス革命はその最たるものでしょう。王侯貴族の特権であった音楽は一般大衆も楽しめるものとなっていきます。それにつれピアノ自体もこの時代に大きく発達していきます。音域が徐々に増え、それに伴って表現の幅も大きくなっていきます。ベートーヴェンを勉強していると、こういった知的好奇心をくすぐるテーマがいくつも出てきてネットで調べものをするのがとても楽しくなります。
脳の感覚的刺激を司るところから論理的なこと処理するところすなわち右脳も左脳も大いに刺激してくれるベートーヴェン作品は認知症予防には最適だと思っています。というわけで当日は彼の時代に起きた歴史的な話などを交えながら演奏会を進めていきたいと思います。
木谷悦也 プロフィール
和歌山市生まれ、大阪音楽大学器楽科ピアノ専攻卒業。ミュンヘン音楽大学等で学び、10年にわたり欧州で活動。
現在ピアニスト・指揮者としての音楽活動の他、独、仏、伊等の語学講師、「ぴあのバーあんてぃーく」に立つJ.S.A認定ソムリエ。