縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

澤 和樹 & 蓼沼恵美子 デュオ ~癒しと愛の二重奏~

とらふすクラシック・349
澤 和樹 & 蓼沼恵美子 デュオ
   ~癒しと愛の二重奏~
           前• 東京藝術大学長 澤 和樹

1976年の8月21日は、私の演奏家としてのプロデビューと言えるものでした。和歌山の県民文化会館でのデビューリサイタル。まだ東京藝大の4年生でしたが、恩師の海野義雄先生の強い勧めによるものでした。その海野先生から、共演者として推薦されたのが、一学年下のピアノの蓼沼恵美子。ソリスト志向の強い、当時の藝大ピアノ科では異色の室内楽や伴奏にも強い情熱をもって臨み、アンサンブルには引っ張りだこだった彼女に、デビューリサイタルの共演を依頼しましたが、その時は、見事に断られました。彼女は、かねてから挑戦したいと思っていたい日本音楽コンクールピアノ部門の準備中で、9月から始まるコンクールの直前でのリサイタル共演はとても無理というのが理由でした。しかし諦めきれない私は、彼女の担任の田村宏先生にもお願いして、ともにロンドンに留学。1983年にはミュンヘン国際コンクールの二重奏部門で第3位となり、ヴァイオリン・ピアノのデュオとしての活動は、間もなく半世紀を迎えます。

モーツァルトをはじめクラシックの名曲には「癒し」の力があると言われます。思えばバッハ、ヘンデルハイドン••• と続くクラシック音楽と呼ばれる名曲は、もともと「クラシック音楽」として作曲されたわけではなく、教会や王侯貴族の求めに応じて、あるいは庶民の楽しみのために作曲されてきた星の数ほどある無数の作品の中から、多くの人々から愛され、200年、300年という時を超えて大切にされて来た極上の価値を持ったものです。それらの名曲によって人々は身も心も癒され、励まされて来たのではないでしょうか。

そして、多くの名曲に共通するテーマは「愛」。何も男女の愛だけでなく、家族愛、さらに大きく人間愛を高らかに歌い、訴えるものです。久々の故郷、和歌山での二重奏による「癒しと愛」の名曲をお楽しみください。

プロフィール 澤 和樹
1955年和歌山市生まれ。東京藝術大学卒業、同大修士課程修了。安宅賞受賞。ロンドン留学を経て帰国、各地で演奏活動を重ね、県文化賞受賞。前•東京藝術大学長。和歌山県立図書館音楽監督