縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

上野絵理子ピアノリサイタル〜ピアノで紡ぐ音世界〜

わかやま新報 
とらふすクラシック・338

上野絵理子ピアノリサイタル〜ピアノで紡ぐ音世界〜
        ピアニスト 上野絵理子
2月18日、和歌山市狐島LURU HALLにて『上野絵理子ピアノリサイタル〜ピアノで紡ぐ音世界〜』を開催させていただきます。今回はショパンシューマンラヴェルスクリャービンと様々な国や時代で活躍した作曲家を取り上げます。

シューマンの「クライスレリアーナ」は、当時シューマンが傾倒していたロマン派の文学者ホフマンの小説に登場する「楽長クライスラー」からタイトルが引用されています。シューマンは恋人クララとの結婚をクララの父親に反対されるもその困難を乗り越えようと前へ突き進む意欲に駆られていた時期の作品です。

一方、ショパンの「舟歌」は彼の晩年の作品で、恋人ジョルジュ・サンドとの破局を迎え持病も悪化し死期が近づく中、自身の人生を静かに振り返るような作品となっています。
未来と過去の逆のベクトルへ意識が向かう二作品。作曲家が残した楽譜から、時空を超えて、一体どのような響きの世界を創り上げられるのか私自身も楽しみです。

時空というとロシアの作曲家スクリャービンが思い浮かびます。今回演奏するスクリャービンの「幻想曲」では、まるで無重力空間にいるような浮遊感とスクリャービン特有の神秘的な響きによってさらに別次元へと誘い込まれるような音楽を味わっていただけたらと思います。

そのスクリャービンと同時代を生きたフランスの作曲家ラヴェルは、現代の私たちにもどこか懐かしいと思わせてくれる懐古趣味を持った作曲家です。ラヴェルの現す懐古的なものはどこか物悲しくもあります。でもその正体が分からない、小さなガラスの中に入った遠い記憶をただ見ているような感覚に、ある種スクリャービンと違った意味での不思議な感覚を味わえる作曲家かと思います。

当日は、お聴きくださる皆さまと一緒に、このような様々な作曲家が駆け抜けた人生に思いを馳せることが出来れば幸いです。今回はバイノーラルマイク録音によるライブ配信もされるそうで、オンライン上でも皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
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上野絵理子 プロフィール
和歌山市出身。京都市立芸術大学・大学院修了。パリで研鑽を積む。国内外コンクールで多数受賞。幅広い演奏活動を展開する傍ら後進の指導にも力を注ぐ。和歌山信愛女子短大、IBU各非常勤講師

中学生と共に歌い継ぐ「花は咲く」「群青」 第48回市響・市響合唱団定期演奏会

わかやま新報
とらふすクラシック・338
中学生と共に歌い継ぐ「花は咲く」「群青」
  第48回市響・市響合唱団定期演奏会
       和歌山市交響楽団理事 髙橋巧二

今年も「第48回和歌山市交響楽団・市響合唱団定期演奏会」が開催されます。プログラムは、チャイコフスキーバレエ音楽くるみ割り人形」から第2幕、合唱曲として大変有名な高田三郎作曲合唱組曲水のいのち」、和歌山市中学校合同合唱団による「花は咲く」「群青」です。

この演奏会は、昭和51年に「オラトリオ演奏会」としてスタート。和歌山市中学校合同合唱団は、第3回演奏会に初登場して以来40年以上に渡り、「アヴェ・マリア」や「美しく青きドナウ」等を歌ってまいりました。今回歌う「花は咲く」「群青」は、第42回から毎年歌い続けて今回で5回目になります。

ご存知のとおり、この2曲は東日本大震災からの復興を願って生まれました。「花は咲く」は、NHKの復興支援プロジェクトとして、宮城県出身の音楽家2人が作詞作曲。「群青」は、大震災で大きな被害を受けた福島県南相馬市立小高中学校の3年生が、卒業を前にして、震災で亡くなった生徒や避難のため全国に散った友達への思いを、音楽教諭の小田美樹先生が書きとめて歌詞にし、曲をつけて誕生しました。どちらの曲も全国各地で今も大切に歌い継がれています。

東日本大震災から13年。阪神大震災からは29年。そして今年、年が明けた1月1日『能登半島地震』。日本全国に衝撃が走りました。「花は咲く」「群青」は、今までも演奏するたびに被災地のことに想いを巡らせますが、今年は特にその抒情的で美しい旋律と歌詞が胸に刺さります。これからも和歌山の中学生と共に、この曲をしつかりと歌い継いでゆきたいと思います。是非皆様も中学生の澄んだ歌声に心癒して頂き、被災地のことや地震津波への備えにも一緒に想いを巡らせてみませんか。

演奏会は2月11日(日)午後1時30分開演、和歌山城ホール大ホール。入場料1500円(学生500円)※未就学児無料/お子様連れ大歓迎!前売りは同ホール(073-432-1212)で取り扱い中。詳しくはQRコードをご覧ください。
プロフィール 髙橋巧二
和歌山大学在学中に和大交響楽団和歌山市交響楽団に在籍。現在、和歌山市交響楽団理事、関西トランペット協会会員、アマチュアトランペット奏者、

金子美香!メゾソプラノ・リサイタル Vol.2 ~日本の歌、世界の歌~

わかやま新報 
とらふすクラシック・337
金子美香!メゾソプラノ・リサイタル Vol.2
~日本の歌、世界の歌~
昨年の8月から、開催が延期されていた金子美香さんのメゾソプラノ・リサイタル Vol.2~日本の歌、世界の歌~が迫ってきました。

金子さんは、山口県生まれ。東京音楽大学を首席で卒業後、同大学院を経てザルツブルグモーツァルテウム音楽院マスタークラスを修了。帰国後、数多くのオペラ、コンサートで活躍を重ねます。2018年夏、ワーグナーで知られる・バイロイト音楽祭で、ドミンゴ指揮オペラ「ワルキューレ」に、日本在住歌手としては初めて、ソリストとして出演、一躍話題となります。そして同時に、日本の言葉が持つ力を信じ、日本を感じる音楽を表現したいと、日本歌曲にも本格的に取り組んでいます。

今回の演奏会の第1部は、日本の歌。畑中良輔作曲の歌曲「八木重吉による5つの歌」から始まります。八木重吉の繊細で、飾らない美しさを持つ「素朴な琴」「雨」「夕焼」などの短い詩は、メゾソプラノで歌われると、その深い味わいは何ともいえません。弘田龍太郎「叱られて」 越谷たつのすけ「初恋」橋本國彦「はな緒」なども言葉を大切に、丁寧に歌い上げます。レコード芸術特選盤を得た、彼女の日本歌曲アルバムの歌世界が楽しめます。

第2部は、世界の歌。ドニゼッティ「ロベルトデグリュー」より 「苦しむものには涙は甘い」、マルトゥッチ「追憶の歌」、ドホナーニ「なぜ泣いてるの、わたしのヴァイオリン」、 リスト「愛の夢」などオペラアリアや歌曲たちでメゾの世界を満喫させてくれます。

ピアノ伴奏は碇理早さん。和歌山県出身。東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業後、渡伊。イタリア国立ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院ディプロマ修了。同音楽院アカデミーコースに進み、語学力や声楽への興味からオペラの世界に深く関わっています。

この演奏会は、2月10日(土)午後2時からLURUHALL、5千円(配信は3千円)。問合せは同ホールまで(073-457-1022)

フォルテピアノ広場 フレンドリーなクラシックを奏でる

わかやま新報
とらふすクラシック・336

フォルテピアノ広場
フレンドリーなクラシックを奏でる

新しい年を迎えました。本年もよろしくお願い申し上げます。和歌山市中心市街地・ぶらくり丁のフォルテワジマ4Fで開催されるフォルテピアノ広場は、今年も変わらずに続きます。この広場のピアノは、世界三大ピアノのひとつといわれるベーゼンドルファー、”ウィーンの至宝”といわれる名器です。その音色に乗せて、クラシックはもちろんジャズやポップスなどジャンルにとらわれない演奏会が行われます。

クラシックは、原則として年6回・奇数月の第三土曜に行われます。今年初めてのクラシックは、兼子万実子さんの「フレンドリーなクラシックを奏でる」。今回は、サキソフォン奏者の神谷真理子さんをゲストに迎え、お二人で楽しく奏でます。兼子さんは、相愛大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業。同大学研究科修了。 関西フィル、大阪シンフォニカ(現・大阪交響楽団)等との協演や、PTNA、東京ピアノコンクール等入選・入賞され、最近ではテレビ和歌山「澤和樹ふるさと心のうた」の出演でお馴染みです。また、神谷さんは、徳島文理大学音楽学部卒業。同大学専攻科修了。徳島及び四国音楽コンクール入賞。卒業演奏会・新人演奏会を経て地道に演奏活動を続けています。

プログラムは、バッハ:イギリス組曲より「プレリュード」に、ドビッシー「月の光」、リスト「愛の夢」「ラ・カンパネラ」などピアノの名曲ばかり、またサキソフォン独奏も楽しみで、あっという間の1時間となりそうです。

この演奏会は、1月20日(土)午後2時から、フォルテワジマ4F・ピアノ広場、観覧無料、予約も要りません。どなたでも気軽に、いろんな音楽を楽しめるストリートピアノとして、お買い物客に愛されています。7Fのグルメ街で食事し、演奏を楽しんだ後は、地下の天然温泉「ふくろうの湯」で温まり、癒されるのも、この時季いいかもしれません。問い合わせ先:フォルテワジマ073-488-1900。
公式ページ:https://www.forte-wajima.com/277

ニューイヤー・コンサート2024~音楽の都ウィーンから~

わかやま新報 
とらふすクラシック・335。
ニューイヤー・コンサート2024
   ~音楽の都ウィーンから~

いろんなことのあった今年もあとわずか、まもなく新年、2024年を迎えます。そして新しい年の元旦、午後7時から、音楽の都ウィーン・黄金の楽友協会ホールで、恒例のニューイヤー・コンサート2024が開催されます。 演奏は、もちろんウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(以下 ウィーン・フィル)です。

このコンサートは、テレビ中継により、現在では世界の90か国以上に配信されているクラシック音楽最大のイベント。シュトラウス一家のワルツやポルカが演奏され、陽気なリズム、意匠を凝らしたアレンジ・フラワー、さらに華麗なバレエなどと共に、画面を通して ウィーンらしさを堪能することができます。

2024年の指揮者は、クリスティアンティーレマン。1959年、ドイツ・ベルリン生まれ。2012年から、ドレスデン国立管弦楽団首席指揮者を務め、ウィーン・フィルとの共演も多く、ニューイヤーコンサートは、19年に続き2回目の出演となります。コロナ禍の中、ウィーン・フィルブルックナー交響曲全曲録音を行い、今回、生誕200年を迎えるブルックナーの作品をニューイヤーコンサート史上初めて演奏します。信じられないような選曲に、期待がたかまります。

プログラム全15曲のうち、ブルックナーの作品を含めて9曲が初登場。そのうちの一つ、シュトラウス2世のフランス風ポルカフィガロポルカ」は、パリの新聞「フィガロ」編集長に献呈された曲ですから、パリ・オリンピックを祝しているのかも知れません。「ラデツキー行進曲」などの定番のアンコールも予定され、例年どうりの華やかに開催されるでしょう。

お正月のひととき、ウィーン楽友協会「黄金のホール」から極上の音楽で新年を迎えましょう!

写真は、筆者がスマホで撮ったニューイヤー・コンサート2017の1枚。指揮者は若きグスターボ・ドゥダメルさん、コンサートマスターは、和歌山県立図書館メディア・アート・ホールで演奏されたこともあるライナー・ホーネックさんです。

第2回まちかどコンサート 〜おとぎの国への招待状〜

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とらふすクラシック・334。
第2回まちかどコンサート
  〜おとぎの国への招待状〜
   一般社団法人和歌山フィルハーモニー管弦楽団
             理事・事務局長 小西 基
和歌山フィルハーモニー管弦楽団は、まもなく創立2周年を迎えます。これまでに主催した2回のファミリーコンサート、1回のまちかどコンサートでは大変多くのお客様と楽しい音楽の時間を過ごすことができました。そして5月と9月には依頼公演のお話も頂きました。これからも皆様に愛されるオーケストラを目指して活動を続けていきます。

さて来年、2024年1月8日(日)午後2時より、和歌山城ホール展示室にて、第2回まちかどコンサート〜おとぎの国への招待状〜を開催します。本公演も0歳のお子さまからご入場頂く事ができ、クラシック音楽に馴染みのないお客様にも、本格的な室内楽に触れて頂けるようにいくつかの演出を準備しています。

歌劇「ヘンゼルとグレーテル」では、絵本を投影し、木管五重奏による演奏に加えて、紀の川市出身のメゾソプラノ歌手・阪上真知子氏の独唱とおはなし付きで上演します。さらに工作ワークショップで制作した自分だけの楽器を使ってお客様を物語の中にお誘いします。

公演の脚本は、和歌山フィルハーモニー管弦楽団フルート奏者で、令和5年度橋本市文化功労賞を受賞された森本英希氏が担当。こどもから大人まで、会場を夢中にする森本氏の脚本は、第1回まちかどコンサートでも大変好評でした。ぜひ小さなお子さまもご家族と一緒にお楽しみ頂けたらと思っています。お一人でも、ご家族でも、グループでもお越しください。

和歌山フィルは、未来を担う子どもたちに最高の音楽経験を提供すること、和歌山の若手音楽家に成長と活躍の場をともに創造すること、クラシック音楽の魅力を和歌山県内に発信することを目的に活動を行っています。来年8月にはシンフォニックコンサート#me timeとして、新しい企画がスタートします。また若手音楽家との共演の機会も計画しています。来年も和歌山フィルの活動にご期待頂き、ホールへ足をお運び下さいますと幸いです。
問合せ:wakayamaphil@gmail.com

プロフィール
神奈川県出身。’09年東北大学大学院工学研究科博士課程前期修了。同年和歌山市内企業へ就職。和歌山市交響楽団での演奏活動を経て、ensemble*familiar*代表。劇団と舞台共同制作など精力的に活動。

冬に想ふ~ロシア歌曲 徳川頼貞とプロコフィエフ

わかやま新報 
とらふすクラシック・333。
冬に想ふ~ロシア歌曲
徳川頼貞プロコフィエフ
徳川頼貞候と交友があったプロコフィエフは20世紀のロシアの大作曲家で、もっともよく知られている作品は「ピーターとおおかみ」でしょう。この作品は朗読と管弦楽による音楽劇、物語があり、親しみやすく、 叙情的で温かみがあり、同時に現代的で、しばしばユーモラスで風刺がきいています。プロコフィエフの音楽の主だった特徴はすべてこの曲に含まれ、今回の演奏曲目にも次々と顔を出してきます。(「ピーターとおおかみ」は演奏されませんが)

まず、歌曲「みにくいあひるの子」。原作はアンデルセンの有名な童話で、プロコフィエフはこれを少し長めの歌曲にしています。「あひるの子」を見舞う過酷な運命や物語のさまざまな場面を生き生きと描きだし、テンポや気分が細かく変化し、映画を観ているような盛り上りを見せます。この歌曲を歌うのは、ソプラノの藤原さおりさん。大阪教育大学教養学科芸術専攻音楽コースピアノ科卒業、京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻を卒業され、ロシアに渡りロシア国立チャイコフスキー記念モスクワ音楽院大学院独唱科を修了。モスクワでも多くの演奏会に出演されています。宮下直子さんのピアノ伴奏で、スライドショーと共にロシア語でお届けします。スクリーンには、イラストと日本語対訳が表示され、歌曲「みにくいあひるの子」を堪能していただけます。そして、プロコフィエフが編曲した「ロシア民謡集」や南葵音楽文庫所蔵「ホルマンコレクション」より発掘された「ロシア民謡」、 有名な「黒い瞳」と続きます。

さらに、バレエ「ロメオとジュリエット」ピアノのための10の小品より2曲が、宮下直子さんのピアノで。バレエ「シンデレラ」より"アダージョ"、チェロソナタハ長調が、林裕さんのチェロと宮下さんのピアノで演奏されます。

歌曲と器楽曲で、プロコフィエフの叙情的な温かさや親しみやすさを感じる”冬に想ふ”コンサート。南葵音楽文庫研究員の近藤秀樹さんのお話付で、今週の土曜日、県立図書館メディア・アート・ホールで開催されます。