縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

きのくに音楽祭 大ホールの『ファイナル・コンサート』

とらふすクラシック・273
きのくに音楽祭
   大ホールの『ファイナル・コンサート』
きのくに音楽祭実行委員長 杉原 孝
沸き立つようなリズムと喜びに溢れる高揚感。TVドラマ『のだめカンタービレ』が大ブームを巻き起こしたのは、2006年のことでした。それまで敷居の高かったクラシック音楽を身近にし、関心の無かった多くの人々を虜にし、さらには音楽の道を専門に歩む人たちをもフ ァンにしてしまった『のだめ』。二ノ宮知子さんの原作漫画の素晴らしさと、のだめ=上野樹里さんの魅力を際立たせた演出に加えて、第一線のピアニストの演奏を起用するなど音楽そのものにこだわる姿勢が、私たちを魅了しました。

きのくに音楽祭『ファイナル・コンサート』に、『のだめ』の音楽監修で知られるピアニストの三輪郁さんが登場します。“今もっともウィーンの薫りを伝え得る”と言われ、ウィーン・フィルの首席奏者たちから大きな信頼を寄せられ数多くの共演を重ねる三輪さんがソロを披露してくれるのは、モーツァルトのピアノ協奏曲の中でもひときわ人気の高いピアノ協奏曲第20番ニ短調。音楽祭の最後を飾る期待のコンチェルトです。

そして、大トリは、『のだめ』のオープニングを飾った交響曲第7番。ベートーヴェン交響曲の中でも異色の明るさを持ち、ワーグナーが「舞踏の神格化」と絶賛した美しい曲です。”第9”と並び称されるスケルツォで魅せる第3楽章。第1楽章以上の輝きで疾走する第4楽章。特に、シンプルだけど深く、悲しさを優しさで包み込む 白眉の第2楽章には、ぜひ浸ってほしいです。奏でる “きのくにスペシャル・オーケストラ”は、指揮者の伊藤翔さんを含めて28人の最小編成ながら、日本センチュリー、大響、京都市響などから集まった腕利き揃いの最強のオケです。今では初演時に近い少人数編成での演奏は希少な機会。この編成、このメンバーでしか聴くことができないハーモニーに熱狂してください!公演は、10月16日(日)18時~、和歌山城ホール大ホ ールです。詳しくは、https://kinokuni-fes.com/

杉原 孝 プロフィール
1957年海南市生まれ。和歌山大学教育学部を卒業後、中学・高校音楽教諭に。中学の吹奏楽部時代に生の圧倒的なサウンドに心が震える体験をし、人生が決まる。楽器はファゴット。日本吹奏楽指導者協会関西理事。紀南交響楽団指揮者。