縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

いま和歌山で一番アツい本格的映画体験 本町文化堂[音楽と無声映画]初の活弁を『大正浪漫展』で!

わかやま新報 
とらふすクラシック・393
いま和歌山で一番アツい本格的映画体験
本町文化堂[音楽と無声映画]初の活弁を『大正浪漫展』で!
           シネマ203館主 高水 美佐

昨年5月より、何よりも楽しみにしている映画の会があります。本町文化堂[音楽と無声映画]は、2ヶ月に1回、北ぶらくり丁商店街西入口前の本屋の2階で開かれるサイレント映画の上映会。和歌山きっての映画通で、本町文化堂店主の嶋田さんと、全国からひっぱりだこの映画音楽プロ楽士、鳥飼りょうさんによる大人気企画です。

上映作品は、サイレント映画の金字塔『裁かるゝジャンヌ』に始まり、『ロイドの要人無用』『キートンの探偵学入門』、ジョン・フォードの西部劇『三悪人』、第1回アカデミー賞受賞作『サンライズ』といった映画史の至宝の数々。作品の神髄を知り尽くした鳥飼さんのピアノ生伴奏はドルビーサラウンドでは味わえない臨場感に満ち、驚きと感動が押し寄せます。

さらに、上映後のお二人のトークが絶品。いま見た映画が一生忘れられない大切な思い出になる奇跡のような体験なのです。一度味わったら必ず次もと観客が増え、今では公演が一日2回に。この日は私も小さな映画館を閉めて毎回参加しています。

今週末から3日間、和歌山城ホール展示室で『大正浪漫展~竹久夢二と音楽~』が開かれます。大正時代の娯楽の花形といえば活弁・生演奏付映画!ということで、[音楽と無声映画]が招かれ、拡大版の[活弁ノ巻]で登場することになりました。弁士の大森くみこさんをお迎えしての上映は、シリーズ初の日本映画、稀代の名優バンツマこと阪東妻三郎のチャンバラ映画の傑作『雄呂血(ルビ:おろち)』。人を愛し正義を貫こうとしただけなのに、悪人の汚名をきせられた下級武士の怒りが爆発する……大正時代の人々が熱狂した映画の時間を、闇に輝く和歌山城のふもとで追体験する貴重な夜になりそうです。

3月2日(日)18時より和歌山城ホール1階展示室にて。一般3000円、30歳以下2000円、小学生以下500円。お問合せは本町文化堂(073-488-4775)またはシネマ203(090-8172-7074)まで。

高水美佐
和歌山市出身。小中高時代を過ごした1970~80年代、ぶらくり丁周辺の映画館通いに明け暮れ世界の広さに大きな憧れを抱く。2023年10月より、北ぶらくり丁で日本一小さな映画館「シネマ203」で映画を上映中。