わかやま新報
とらふすクラシック・375
お寺でクラシック!御霊屋コンサート
ソプラノ歌手 瑞樹比美香
11月3日、国宝・長保寺(海南市下津)の徳川家御霊殿(おたまや)で、11回目となる お寺でクラシック・奉納コンサートが開催されます。平安時代から続く「十夜会法要」に合わせたもので、今年はイタリアの作曲家プッチーニ没後100年を記念して、彼の名作を中心にお届けします。
14時からの法要に続いて、15時からソプラノ・コンサートが始まります。プッチーニの美しい旋律に耳を傾け、オペラ「蝶々夫人」からの名アリア「ある晴れた日に」、「トゥーランドット」からリュウのアリア2曲を演奏いたします。これらの曲は、時間を超えて心に響く名作です。そして、オペラコーチによる解説は、初めてプッチーニに触れる方にも楽しめる内容となっています。音楽が持つ物語や感情を深く味わっていただけます。
また、懐かしい秋の童謡・唱歌や和歌山にゆかりのある、梅田惠以子氏の詩に森川隆之氏が曲をつけた「長保寺は雨」や「那智讃歌」といった、地域の魅力を伝える曲も演奏いたします。自然と歴史に彩られた和歌山の風景が、より鮮やかに表現されます。
長保寺は、鳥たちの美しい囀りが響く場所です。この特別な空間で聴く音楽は、まるで鳥たちと共演しているかのようです。あの世とこの世を繋ぎ、すべての世界に響き渡るよう、心を込めて演奏を奉納いたします。
長保寺は昨年6月に大雨の被害を受け、現在拝観が停止されています。本堂を含む境内には立ち入ることができませんが、駐車場近くの国宝大門はいつでもご覧いただけます。そして、年に一回、この11月3日限定で、御霊屋は一般公開されます。
十夜会法要は、十日十夜にわたりあらゆる諸霊を念仏によって供養する法要です。 古くから続くこの伝統に、現代の音楽が彩りを添えるひととき。どうぞ、この特別な機会にお運びください。入場は無料です。豪雨災害による義援金箱を設置しますので、ご協力お願いします。お問い合わせは長保寺(073-492-1030)まで
ソプラノ歌手 瑞樹比美香
神奈川県出身、海南市在住。15歳からオペラを指揮者セルジョ・ソッシィに学び、ヨーロッパで研鑽を積む。ベルリンフィルハーモニー、シドニーオペラハウスでの演奏など国内外で活動している。