縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

瑞樹比美香ソプラノリサイタル LURU HALL 支配人 田口雄基

わかやま新報 
とらふすクラシック・372
祈りの声〜Preghiera 〜 《胎動Ⅱ》
瑞樹比美香ソプラノリサイタル
           LURU HALL 支配人 田口雄基
LURUHALLで開催される、ソプラノの瑞樹比美香さんの公開録音コンサート、6月30日の「美しい日本の四季のうた ~《胎動Ⅰ》」についで、9月29日には「祈りの声〜Preghiera 〜《胎動Ⅱ》」が行われます。

このライブレコーディングについて、エンジニア目線からご紹介します。瑞樹さんのソプラノを豊かな響きのまま収録するため、クラシック音楽としては珍しいバイノーラル録音(立体音響)と、スタンダードなマルチマイク録音をミックスした、おそらく世界でもまれなハイブリッドな手法で録音制作されています。

バイノーラル録音の良さは、何と言ってもステージ上のアーティストの音像位置関係や奥行きや高さ、LURUHALLの響きの良さを、とても自然に捉えられ、客席も含めた一体感が生々しい仕上がりで録音できるのが魅力です。一方で、俗にいうマイク1本の一発録りで、後から音量バランスを調整するのには不向きなため、とてもシビアなマイキングが求められ、演奏者にもミスの許されない録音方法でもあります。

多くのマイクで録音するマルチマイク録音は、それぞれの楽器に適した特性のマイクで収録するため、各楽器の音量や音色・位置関係を後から調整出来る一方、楽器間の音響空間が不自然になりやすく、いかに全体が調和するように仕上げていくかという課題があります。

今回は、常設の特製人型のバイノーラルマイクに加え、マイケル・ジャクソンがプライベートスタジオのため特注したという、ミキサー卓・STUDERA779。ヴォーカルレコーディングで定評のあるマイク・Shure Beta87、ピアノは、ヴィンテージマイクの名機ノイマンu87aiなどアナログの名機を多く使用しています。

リスクを恐れずに新しい取り組みにチャレンジする瑞樹比美香さん。そして、応援する客席の皆さんの息使いまで収録されたCD2枚は年内に発売される予定です。今週の日曜日、瑞樹さんのライブレコーディング・コンサートに、ご一緒しませんか?

プロフィール
1986年、岐阜県生まれ。MUSIC ENGINEER、空間録音家。2012年より、音楽の新しいカタチ、バイノーラル録音で時空を超え、繋がる歓びを追求するANIMA ―魂を繋ぐ音― 主宰。