縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

澤 和樹&蓼沼恵美子 デュオ結成45周年記念演奏会

とらふすクラシック・231。
澤 和樹&蓼沼恵美子
デュオ結成45周年記念演奏会
        ヴァイオリニスト 澤 和樹
1976年8月、東京藝大4年生の夏休みに、恩師、海野義雄先生の勧めで故郷、和歌山市でデビューリサイタルを開催する事になりました。前年の日本音楽コンクール入賞をきっかけに、当時の大橋正雄県知事が発起人となり、和歌山文化協会会長も務められた茶道家の和中金助さんを後援会長として、クラシックとしては珍しい後援会を組織して頂き、学生のデビューには似つかわしくない2,000名収容の県文大ホールでのデビューとなりました。その時の共演者が藝大で1年後輩だった蓼沼恵美子でした。蓼沼は、室内楽や伴奏が好きで海野クラスの生徒の伴奏も良く手掛けていて、先生のお気に入りでもあり、デビューリサイタルの共演者を相談した際に「蓼沼さんが良いのでは」と推薦がありました。ところが彼女は、その年の日本音楽コンクールへの挑戦を決めていたため、あっさりと断られてしまいました。彼女の師の田村宏先生にご相談したところ、「コンクールやるより澤のリサイタルの伴奏引き受けた方が君のためだ」と忠告してくださり、初共演が実現しました。
以来、45年!人生のパートナーともなり、留学先のロンドンではヴァイオリンのジョージ·パウク先生、ピアノのマリア·クルチョ先生から二重奏としてのソナタのレッスンを受け、また年間100回を超える演奏会やオペラ通いで、音楽的価値観を共有できたのではと思っています。20周年ではブラームスの3曲のソナタを柱に、同世代の作曲家、松下功、山田泉、髙橋裕の3氏に作品を委嘱、30周年にはベートーヴェンの10曲のソナタを、そして40周年ではシューベルトシューマンブラームスとそれぞれ3~4回のシリーズでデュオの名曲を網羅して来ました。45周年の今回は、モーツァルトベートーヴェンシューマンの熟年期の名作とフランスの現代作曲家、メシアンが第二次大戦中にドイツ軍の捕虜として収容所で作曲した「イエズスの不滅性への賛歌」を演奏します。45年の原点となった和歌山の皆さまに聴いて頂ければ幸いです。音響が飛躍的に改善されたメディア・アート
ホールでの演奏も楽しみです。

プロフィール 澤 和樹
1955年和歌山市生まれ。東京藝術大学卒業、同大修士課程修了。安宅賞受賞。ロンドン留学を経て帰国、各地で演奏活動を重ね、県文化賞受賞。東京藝術大学学長。和歌山県立図書館音楽監督

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