縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

声楽アンサンブルユニット TsuBaKuma 旗揚げオンラインライブ!

とらふすクラシック・194。
 声楽アンサンブルユニット TsuBaKuma
     旗揚げオンラインライブ!
            テノール歌手 坂東達也
音楽を聴くという行為は時代を経て多様な変化を遂げてきた。コンサートホールに足を運び、演奏者を前にして静かに聴かれてきた音楽は、レコードやCDの普及から気軽に自宅で聴けるものになり、現代においてはインターネット上でダウンロードし、イヤフォンなどで聴くことが主流となった。

その中でクラシック音楽は生演奏での音楽体験を大切にしてきたが、コロナウイルス感染症が猛威をふるう中でコンサートやオペラは中止になり、生で音楽を聴く事は気軽なものではなくなってしまった。そんな中、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは昨年三月、オペラ「神々の黄昏」を無観客でライブ配信を行い、結果40万人以上がこのオペラを楽しんだ。それから一年間が経ち、今やプロの音楽団体のみならず、数多くのクラシック音楽家がライブ配信という媒体を活用し、音楽の灯火を絶やすまいと活動を続けている。

では果たしてその音楽は聴衆に対して豊かな音楽体験を提供できているのだろうか?例えば轟音鳴り響く電車や車の通勤の中で、BGMが流れているカフェの中で、鼓膜を圧迫するゴム性のイヤフォンで聴く音楽は"本当の"音楽なのだろうか。演奏者を目の前にして音の振動を体に受ける事と、鼓膜に音を押し付けられる事が同じ音楽体験になり得るだろうか。

2月21日(日)14時から、声楽アンサンブルユニット"TsuBaKuma"は配信ライブを行う。矛盾しているようだが、我々はこの配信ライブの中で少しでも"本当の"音楽体験を聴衆の皆さんにお届けしたいと願っている。いつか聴衆の方々に"本当の"を届けるために、我々はコロナウイルス感染症の中で終息を"待つ"のではなく、今"発信し続ける"事を選んだ。どうかこの公演が皆さんの心を豊かにし、コロナウイルスに奪われた音楽の喜びをもう一度得られますように。そして忘れられない思い出となり、いつの日かライブで顔を合わせて、"再会"を喜べる日が来ますように。

プロフイール
大阪府夕陽丘高校音楽科をヴァイオリン専攻生として卒業後、声楽に転向。その後、東京藝術大学卒業、同大学院音楽研究科独唱科修了。ソロ活動に加え、数多くのオペラに出演。4月よりびわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバー。第18回滋賀県新人演奏会最優秀賞受賞。