縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

きのくに志学館開館30周年記念 澤クワルテット演奏会

とらふすクラシック・309。
きのくに志学館開館30周年記念
澤クワルテット演奏会
 ヴァイオリニスト、前• 東京藝術大学長 澤 和樹

「きのくに志学館」が、この7月に開館30周年を迎えます。和歌山大学経済学部の移転にともない、その跡地に県内の中核図書館としての県立図書館、文化情報の収集と提供•発信を担う文化情報センター、そして歴史的に貴重な古文書、公文書の整理、保存を扱う文書館を備えた複合施設として県民の文化教養と交流の場として、長らく親しまれて来ました。

2階に設置された多目的ホール、メディア・アート・ホールは、可動式フロアを備え、多彩なイベントに対応できるホールとして期待が大きかったのですが、当初の20年ほどは、図書館の開館時間とリンクしていたため、夜の演奏会やイベントなどには対応できず、必ずしもその豊富な機能が活かされているとはいえませんでしたが、関係者のご尽力と和歌山県のご理解により、開館時間の弾力的運用が可能となり、匿名によるコンサートグランドピアノの寄贈、音響改善工事などを経て、現在では県民文化会館や和歌山城ホールに並ぶ、和歌山県内の重要なホールとして有効に活用されています。

2016年には紀州徳川家第16代当主、徳川頼貞による世界的な音楽資料コレクション『南葵音楽文庫』が、読売日本交響楽団から寄託を受ける形で、県立博物館と県立図書館に収蔵されることになりました。その最重要資料のひとつ、大作曲家、ベートーヴェン手書きの書簡に登場するベートーヴェン晩年の名作、弦楽四重奏曲第13番「大フーガ付き」をはじめ、モーツァルトの代表作「狩」、また徳川頼貞とほぼ同時代に生きたウィーンの作曲家アントン•ウェーベルンの若書きの作品を、結成以来33年、不動のメンバーで続ける澤クワルテットの演奏でお届け致します。弦楽四重奏は、ハイドンが生み、モーツァルトが育て、ベートーヴェンが完成させたとも言われる、最も完成度が高い芸術です。是非、お楽しみください。

プロフィール 澤 和樹
1955年和歌山市生まれ。東京藝術大学卒業、同大修士課程修了。安宅賞受賞。ロンドン留学を経て帰国、各地で演奏活動を重ね、県文化賞受賞。前•東京藝術大学学長。和歌山県立図書館音楽監督