とらふすクラシック・249
鐵 百合奈 ピアノ・リサイタル
紀陽コンサートや花王ファミリーコンサートなど、企業による芸術文化支援のメセナ活動は、コロナ禍において益々重要性を増しているように思います。日本各地で、「地域住民のためのコンサート」を開催している三井住友海上文化財団 ときめくひととき公演「鐵 百合奈ピアノ・リサイタル」が和歌山城ホールにやってきます。大ホールで、初めてのピアノ・リサイタルだけに、期待がふくらみます。
鐵 百合奈(てつゆりな)さんは、同財団フレッシュアーティスツとして活躍していた注目のピアニスト。1992年、香川県高松市生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大、同修士課程、同博士後期課程を修了、論文「演奏解釈の流行と盛衰、繰り返される『読み直し』:18世紀から現在に至るベートーヴェン受容の変遷を踏まえて」で博士号を取得。2019年、N&Fより「シューマン: ソナタ3番、ブラームス: 左手のためのシャコンヌ」でCDデビュー、「レコード芸術」準特選盤に選ばれています。さらにこの年から、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏シリーズを開催、同時並行してレコーディングを続け、CD5枚組セット上巻、下巻のうち上巻がこの3月に発売されたばかり。5つのホールで収録、スタインウェイとベーゼンドルファーを弾きわけ、解説書も自ら書きおこしています。
和歌山公演は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「月光」、シューマンの幻想曲、ショパンのポロネーズ「英雄」など、親しみやすい楽曲も織り交ぜた、聴き応えのあるプログラム。
このコンサートは、5月21日(土)午後2時から、和歌山城ホール大ホール。全席自由席、一般1000円、学生500円(当日は各500円増)のメセナ特別料金。前売チケットは、4月10日(日)から、同ホールや市内各コミュニティセンターなどで発売。同ホールでは、電話(073-432-1212)による予約(取置)受け付けもおこないます。