とらふすクラシック・294
創設記念!第一回定期演奏会
和歌山キッズオーケストラ 代表・指導 北島佳奈
桜の季節が、また巡ってきました。三月四月は、子供たちにとって新しい風が吹き、新しい出会いの季節でもあります。そして、この春三月一九日、「和歌山キッズオーケストラ」が誕生いたします。昨年の夏、「わたしたちの町の世界に一つだけの音楽会」を開催させていただきました。その演奏会で、「with和歌山キッズオーケストラ」と題して、子供たちのアンサンブルもお聴きいただきました。
私たちの期待を通り越して、鳴りやまない拍手と共に、「感動した」と仰って涙してくださった方もいらっしゃったのです。その時、キッズオーケストラ誕生への私の決意が固まりました。素晴らしい音を響かせた当の子供たちは、うれしい反響にはまるで飄々とした様子で、演奏会後、花火大会に興じていました。しかし、子供たちは、ただ飄々としていただけではなかったのです。演奏会後に受けた取材に、複数の子供たちが、「カノンで最初の音が合わさったとき、みんなの気持ちが完全になったなという気がしました。」と子供なりの言葉で、舞台での感激を答えた時には、驚きと共に子供たちのアンサンブルを始めることの喜びをひしひしと感じました。
子供たちとの練習に向かう日々、声をからしながらの時もありますが、子供たちの可能性には、目を見張るものがあります。その瞬間瞬間を共にできる私は、本当にしあわせに思います。音楽を通してめぐりあった子供たちとの今こそ、この時間を豊穣なものにしたいと思うのです。
~桜ばないのち一ぱいに咲くからに 生命をかけてわが眺めたり (岡本かの子)~三月一九日、和歌山城ホール小ホールに響き渡る和歌山キッズオーケストラの音に、岡本かの子の桜への思いと重なるものがあります。キッズたちの「初めの一歩」に、祝福の大きな拍手が湧きあがりますことを期待し、これからの長い長い応援をいただけますように
ヴァイオリニスト 北島佳奈
和歌山市生まれ、4歳からヴァイオリンを始め、京都市立芸術大学、大学院在学中、ドイツに留学。帰国後、各地で活動を重ね、和歌山青年会議所アゼリア賞、大桑文化奨励賞、和歌山市文化奨励賞受賞。