縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

生まれ変わったホールの響きを バイノーラル配信で

とらふすクラシック・201
生まれ変わったホールの響きを
       バイノーラル配信で
          LURU HALL 支配人 田口雄基
本コラム、とらふすクラシックの200回記念となるコンサートは、音響改修を経て生まれ変わったMah!和歌山県立図書館(メディア・アート・ホール)で4月17日(注)午後2時より行われます。

先日、関係者向けの試奏の現場に立ち会わせていただいたところ、ピアノの一音目から、その響きはもう全く別物へと変貌を遂げており、驚きと共に興奮を覚えました。その音の輪郭はより鮮明に、音像は透明感と存在感を増し、大きな波のあとのさざ波の様に、華やかな余韻で残響が美しく縁取られているかのようです。

生の音楽の魅力は、一期一会の素晴らしい時空と感動を沢山の人と共有できる喜びにあると信じています。昨年からの生活様式の劇的な変化によって、音楽シーンは大きく変貌を遂げました。ライブ配信も様々な方法が模索されながら、配信ならではの楽しみ方を提供するメディアへと進化を続けています。会場のキャパシティーを超えて、沢山の人にライブを届けられるライブ配信という方法は、きっとこの先も続いていくのでしょう。そういった流れの中で、生ならではの「一体感」への希求は益々高まっているように感じます。

今回のコンサート当日のライブ配信は、人の頭の形をした特殊なマイク(写真)で収録する「バイノーラル録音」という方法で放送されます。「バイノーラル録音」は、空間と演奏が不可分に結びついた、時空そのものを一つの音楽体験としてお届けする録音方法のひとつです。このマイクは人と同じように、無意識で感じている繊細な空間の響きまで余すところなく全方向立体的かつ有機的に収音してくれます。コンサート会場の響きを特等席で聴く音そのままに、ご自宅に居ながら素晴らしい臨場感でコンサートお楽しみいただけます。申込&詳細は、QRコードをご覧ください。(注:編者)前回のコラムの4月25日は、誤りでお詫びして訂正いたします。また、会場予約は満席、配信のみお申込みができます。

田口雄基 プロフィール
1986年、岐阜県生まれ。MUSIC ENGINEER、空間録音家。2012年より、音楽の新しいカタチ、バイノーラル録音で時空を超え、繋がる歓びを追求するANIMA ―魂を繋ぐ音― 主宰。