とらふすクラシック・200。
とらふすクラシック200回記念に寄せて
ピアニスト 宮下直子
先日、思いがけないCDの誕生プレゼントが届いた。J.S.バッハのゴルトベルク変奏曲をMIYAZAKI MIEKOさんという筝曲家がソロで入れたもの。ありえない事を17年の歳月をかけて見事に結実させたそのCDから溢れ出る箏の音から、彼女のゴルトベルクに懸ける想いの深さに驚嘆。こういうサプライズは人々を幸せにする。
ありえない事をやってのけたホールがある。それが、和歌山県民図書館にあるメディア・アート・ホール、通称Mah! このホールは元々多目的ホールだった。設計は、日本で一番評価の高いサントリーホールを設計した会社。私は響きはともかく!?会場が醸し出す暖かい雰囲気が気に入って、Mah!開館当初から頻繁に使っていた。ただ、ホールに付随する楽器を何とか弾きこなさねばならないピアニストの性で、ホールの響きを変えようなんて、夢にも思いつかなかった。それが、何と、Mah!は2度もその好機に恵まれた。 2度目は、コロナ禍を利用したかのように半年かけて、天井と背面に反射板を設け、さらにステージ床の強度を補強し、あたかも上質の音楽専用ホールの響きになった。こんな幸せなホールは全国的に見ても珍しいだろう。
その蔭には、Mah!を何とか一流のアーティスト達をも満足させる音にしたい、というホールアドバイザーたちの並々ならぬ情熱があったから。その熱波に専門家達の貴重な意見が加わり、ありえなかった高い壁を乗り越えてしまった。 秋には新しく和歌山市城ホールがオープンする。素晴らしいホールが増えて期待も膨らむが、Mah!も、それに負けないくらいの魅力を手に入れたのではないだろうか。
4/25は、生まれ変わったMah!で、とらふすクラシック200回記念コンサート。演奏者達はそれぞれ苦難の1年を経、特別な想いで珠玉の作品を奏で、歌います。芸術に携われる幸せを噛みしめながら。皆さまの心ににその幸せが生で、配信で届きますように。感謝を込めて
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プロフィール 宮下直子
和歌山市在住。東京藝術大学卒業。在学中安宅賞受賞。ロンドン留学を経て帰国。 各地で演奏活動を重ね、県文化奨励賞、市文化奨励賞受賞。京都市立芸術大学、相愛大学講師。