縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

ライネッケ「水の精」に想いを寄せて

本日付け、わかやま新報、とらふすクラシック・116。
  ライネッケ「水の精」に想いを寄せて
          フルーティスト 岡本万貴
フォルテワジマ4Fで開催されるきのくに音楽祭プレコンサート、第4回目はフルートとピアノによる演奏会です。既に4月から3回にわたり素晴らしいステージが繰り広げられ、10月4日から始まる和歌山初の音楽祭「きのくに音楽祭」に向け熱気が上がっているなか、多少のプレッシャーを感じつつも、胸を高鳴らせています。

この機会にフルートの魅力を紹介出来たらと、ロマン派フルート音楽で最も重要な作品を取り上げます。カール・ライネッケ作曲、フルートソナタホ短調「水の精」は、ドイツの作家フーケの悲恋物語ウンディーネ(水の精)」を題材に書かれた約20分強の大曲です。第1楽章は水や波の描写が美しく、人間への憧れが表現され、人間の騎士と恋に落ち、結婚することで魂を得られたウンディーネ。第2楽章では彼女の無邪気でいたずら好きな様子や厳かな結婚式が浮かび上がります。第3楽章に入り、ロマンティックな結婚生活もつかの間、騎士の婚約者の出現により不穏な響きへと変化し、水の中へと消えて行ったウンディーネ。そして彼女の涙によって騎士の命が奪われた場面へと一気にかけ抜ける最終楽章。騎士の墓のそばで泉となって湧きあふれるウンディーネ。激しさと静寂によって幕を下ろします。

なんとドロドロした物語でしょう!しかし、蒼みをおびた澄んだ水、月明かりに照らされた水の精のブロンドの髪の描写など、素朴ではありますがフルートならではの音色、そしてピアノの華やかな動きによって、映像を観るかのように楽しめる作品です。また、南なほきさんのピアノソロによる、ベートーヴェンの初期の作品 ピアノソナタ3番(1、4楽章)では、ベートーヴェンの「若き日々の迸る情熱」を楽しんでいただけると思います。

この演奏会は、7月20日(土)14時から、観覧無料ですが、お一人様1000円以上の寄付をお願いいたします。収益はきのくに音楽祭に全額寄付されます。ぜひご協力をお願いいたします。

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相愛大学音楽学部フルート専攻卒業。クラシックギターと「黒江万金堂」を結成、関西を中心に活動中。バロック、近現代音楽を中心に心に響く癒しの音を追求している。