縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

わかりやすいうた”特別編

とらふすクラシック・178。
   わかりやすいうた”特別編
”わかりやすいうた”をシリーズで続けるテノール歌手・井澤章典さんのライフワークは、現在生きているクラシック作曲家の作品を取り上げては、次世代に歌い繋いでいくこと。クラシック音楽は高尚なだけではなく、楽しい娯楽ということを広めていくこと。そして、日本語の歌の素晴らしさを伝えること。この三点だと言い切っています。

四季の移ろいを感じられたり、恋した時のあの高揚感、また恋人に裏切られた時のなんともいえない嫌悪感、家族の温かさを感じたり、戦争の悲惨さやを伝えたり、自分自身が風になったような気分だったり。クラシックの歌曲にはそういういろんなものを伝える力があると井澤さんは言います。外国語であっても、日本語の歌であっても、わかるように背景なども説明しながら、歌い進めていく演奏会が、”わかりやすいうた”なのです。

この春に好評だったように、井澤さんだけでなく、一緒に勉強している仲間たちとのコンサートです。大阪、神戸で活躍するソプラノ、テノール二人、バス、ピアニストの5人で開催されます。イタリアの熱いオペラやドイツのしなやかな歌曲、そして美しい日本の歌など様々な名曲が取り上げられます。

さて、今回は”わかりやすいうた”特別編。ソロや重唱にくわえて、井澤さんのギター弾き語りも登場するかもしれません。いずれにしても、コロナ禍に、耐えて負けない、元気な歌声が響きわたるに違いありません。

演奏会は、10月25日(日)14時~、会場はLURUHALL。会場チケットは、3000円(フリーソフトドリンク付)、音の良いプレミアなライブ配信は、2000円(一週間アーカイブ視聴付)です。会場のお客様はマスク着用、アルコールでの清掃、開演前、休憩での換気などを徹底してお迎えする準備をしています。問合せは、同ホール(073-457-1022)。もしくはWEB:https://luruhall.zaiko.io/e/20201025A

音と絵の対話〜耽美的絵画とスピネットのコンサート

とらふすクラシック・177。
  音と絵の対話〜耽美的絵画とスピネットのコンサート
       ピアノ・チェンバロ奏者 上野山 彩子

皆さんは、芳しい香りをかいだ時、どこからか音楽が聴こえてくるような気がしたことってないでしょうか。あるいは、音楽を聴いた時に、目の前に何か景色が浮かんでくるような気がしたことはないでしょうか。

スピネット(小型チェンバロ)のソロコンサートをルルホールでと考えた時、一度はやりたかった絵画とのコラボが出来る!ということでした。心で映像を想うのと違い、絵画という形で具体化され、音楽との相乗効果で、絵画の止まった時間が動くように感じて頂けたら嬉しいなと思います。

チェンバロは15世紀から18世紀にかけてヨーロッパの音楽において活躍した鍵盤楽器です。貴族文化を反映するかのように、調度品としての優雅さ、視覚的な美しさ、「ビジュアル」もこの楽器の大事な要素でした。このコンサートで使うスピネットも、小型ながら優美な姿です。

楽器とのバランスも取りつつ絵を選ばせていただき、特に曲の作られた時代とは合わせず、自由に選んでみました。アール・ヌーヴォーアール・デコの時代を生きたデンマークの挿絵画家、カイ・ニールセンの作品もご紹介します。正に幻想的で、音楽と組み合わせる当日が楽しみです。演奏するのは、ルネサンス時代の終わりからバロック時代にかけての曲。舞曲、当時の流行り歌、J.S.バッハの若い頃の秀作トッカータ2番、宮廷の人々の様相を描いたフランソワ・クープランの曲などです。

今年は、ゆったりした気分でいられることは少なく、試練の日々でした。そんな中でも、美しいものに心満たされて、音楽に豊かな気持ちになって頂ければと思います。私自身が、演奏出来ることにつくづく、感謝を感じています。

音と絵の対話〜耽美的絵画とスピネットのコンサート〜11月8日(日) 18:00~、会場:¥3000(フリーソフトドリンク付)限定20席、 配信:¥2000(1週間アーカイブ付)問合:LURUHALL 073-457-1022

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ピアノ・チェンバロ奏者、大阪府箕面市生まれ。5歳よりピアノを始め、神戸山手女子短期大学音楽科、同学音楽専攻科修了。ピティナピアノコンペティション上位入賞。卒業後、チェンバロを学ぶ。

きのくに音楽祭2020開催に寄せて②

とらふすクラシック・176。
  きのくに音楽祭2020開催に寄せて②
         ピアニスト 宮下直子

今年もきのくに音楽祭が開幕しました!開催を信じて準備をして下さった関係者とご支援ご協力頂いた皆さまには心から感謝申し上げます。

さて、今回は聴きどころを。先ず「発掘レクチャーコンサート」について。今年は、ベートーヴェンショパンの生誕記念年。南葵音楽文庫の美山良夫慶應大学名誉教授に、「使命のベートーヴェン、心のショパン徳川頼貞が向き合った音楽世界〜」というタイトルでお話し頂き、後半は、私の恩師小林仁先生編曲の、ショパン作曲ピアノコンチェルト第2番弦楽六重奏版を、和歌山出身の鴇田恵理花さんをソリストに迎え、チェリスト林裕と仲間たちとの絶妙なアンサンブルでご堪能下さい!ベートーヴェンの本邦初演や、ホルマンコレクションから発掘されたショパンのチェロ演奏も必聴です!

そして、子ども達に焦点を合わせた新企画〜「0歳児からのファミリーコンサート」「若い芽のコンサート」〜が音楽祭初日を飾り、まだ首が座ったばかりの赤ちゃんがじっと演奏に聴き入る姿、小中高生たちの才気溢れる演奏に感動しました。初めて上質の生の演奏に触れた子どもの頃の経験は、記憶の何処かに必ず残ります。その経験がいつか人生の何処で生かされ、「音楽や芸術が人間にとって必要不可欠なもの」と考えられる人が1人でも増えて欲しい、との思いが強くなりました。「若い芽」に出演した子どもたちの中には、世界で活躍する音楽家を夢見る子もいます。そんな子ども達が憧れる音楽祭にきのくに音楽祭が成長してくれたらと、切に願います!!

最後に、私自身密かに楽しみにしているのが、和歌山県立近代美術・博物館広場のピクニックコンサート。青空の下、赤ちゃんもワンちゃんも、ご家族全員、ランチ片手に、極上のブラスアンサンブルを楽しみにいらっしゃいませんか?明日から、きのくに音楽祭2020のメインコンサートが始まります!スタッフ一同皆さまのお越しを心からお待ちしております!!

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プロフィール 宮下直子
和歌山市在住。東京藝術大学卒業。在学中安宅賞受賞。ロンドン留学を経て帰国。 各地で演奏活動を重ね、県文化奨励賞、市文化奨励賞受賞。相愛大学京都市立芸術大学講師。きのくに音楽祭プロデューサー。

澤和樹: ヴァイオリンでうたう日本のこころ

とらふすクラシック・174。
澤和樹: ヴァイオリンでうたう日本のこころ
日本を代表するヴァイオリニストにして、東京藝術大学学長として知られる澤和樹さんのアルバム「ヴァイオリンでうたう日本のこころ」が、今週キングレコードより発売されました。同じくヴァイオリンの澤亜樹さん、ピアノの蓼沼恵美子さんも加わった澤ファミリーで、懐かしくも美しい日本の調べを奏でています。

この春、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるため、東京藝術大学と同学のある東京都台東区が、「ステイホーム」で頑張る皆様へエールとなる音楽番組を制作されました。日本最古のコンサートホールでもある旧東京音楽学校奏楽堂で、日本の懐かしい調べが収録され、今もYouTubeで配信されています。このアルバムは、同じ演奏者により、キング関口台スタジオで、数曲を新たにくわえレコーディングされたものです。

「日本の原風景を描き、やさしさ、懐かしさ、素朴さに溢れた日本のこころそのものです」(ライナーノーツより)と澤さんが書きおこすように、唱歌の原曲に限りなく近く、そしてシンプルで、付録の歌詞を眺めながら思わず口ずさんでしまうような、こころなごむ器楽のアルバムです。表紙絵は、日本画の大家・平山郁夫さん「薬師寺の夕べ」より、題字は、前学長で文化丁長官の宮田亮平さんによるものです。

収録曲は23曲、 夏は来ぬ/花/荒城の月/ふじの山/村の鍜治屋/早春賦/城ヶ島の雨/朧月夜/故郷/宵待草/叱られて/七つの子/砂山/どこかで春が/夕焼小焼/この道/待ちぼうけ/からたちの花/浜辺の歌/出船/椰子の実/初恋/夏の思い出。楽曲解説も素晴らしく読み応えがあります。

久方ぶりにCDを買って、聴いて、読んで、歌ってみるのも楽しいものです。2020/09/23発売。KICC-1546、3000円。また、澤和樹さんは、ご存知、和歌山市出身、10月に開催される”きのくに音楽祭2020”の総監督であり、結成30周年を迎える澤クヮルテットを率いて演奏もされます。

日米同時配信!コンサート

とらふすクラシック・173。
   日米同時配信!コンサート
    ピアニスト 小路里美

コロナウィルスの影響を最初に感じたのは、今年2月に大阪で予定していた、ウィーン在住の仲間との共演によるヴァレンタインデーコンサートがキャンセルされた時の事でした。ホールの方からも「今回はウィルスの影響ですから仕方がありません。また機会があれば宜しくお願いします。」と、コンサートはキャンセルとなりました。

それから間もなくウィルス問題が世界中に広がり、数ヶ月間はコンサート自粛の日々となりました。その間に、ほぼ毎年演奏させて頂いているルルホールで新たに配信を始められたので、秋ぐらいにコンサートを開催しましょうとお話を伺いました。しばらくしてからアメリカのヴァージニア州に住んでいるヴァーチャルコンサートホール主宰者からも連絡があり「私達はオンラインコンサート配信を始めたので演奏しませんか?」とお声かけ頂きました。音楽関係者の方々がコロナ問題に対する解決策に前向きに取り組んでおられる様子を拝見し、オンライン配信が新たな音楽提供の形として少しずつ定着して来たのを感じました。

今回は、そのオンライン配信技術を使用した私のコンサートとしては初めての試みとなります。最初はアメリカと日本のオンライン配信を1度のコンサートにまとめたいと思いましたが、ルルホールの開催によるコンサートとヴァーチャルコンサートホール開催のコンサートを2度開催する方が様々な観点から良いと思われましたので、9月20日は2度、同じプログラムを演奏させて頂きます。プログラムはニューヨーク出身の作曲家、マクダウェルの野ばらに寄す、ラヴェルの夜のガスパールよりオンディーヌ、ショパンのバラード第4番、シューマンの幻想曲作品17、どの曲も芸術の秋に聴いていただきたい魅力的な作品です。ご来場者は15名様までとなっていますが、オンライン配信は、ご自宅で期間内何度でもお楽しみいただくことが出来ます。皆様是非ご覧下さい。詳細は:https://luruhall.zaiko.io/e/20200920A

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小路里美 ピアニスト
紀の川市在住。Music Office 小路清忠 Artists Circle代表。1996年ウィーン国立音楽大学大学院芸術修士号取得。コンサートピアニストとして日本各地とヨーロッパ、アジア各国で音楽活動を展開する。

けんぶん記念コンサート”奏でる50周年”

とらふすクラシック・172。
  けんぶん記念コンサート”奏でる50周年”

今年11月、和歌山県民文化会館が開館50年の節目を迎えます。幾多の感動が生まれてきた大ホールで、感謝と未来に向けた記念コンサート”奏でる50周年”が、11月22日(日)14時から開催されます。

ベートーヴェン生誕250周年と重なった記念イヤーにふさわしく、ベートーヴェンの三重協奏曲 ハ長調OP56ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲が演奏されます。この作品は、ピアノソナタ第23番「熱情」、交響曲第3番「英雄」などが書かれた時期の作品。ピアノ三重奏をソロ楽器として、オーケストラと協奏曲を奏でる意欲的なものですが、ソロ奏者を3人も必要とされることから、演奏される機会は極めて少ないのです。この記念すべき50周年に、とても嬉しい作品といえます。

3人のソロ奏者は、澤 和樹さん(ヴァイオリン)、宮下直子さん(ピアノ)の和歌山ゆかりのお二人に、若手チェリスト・山澤 慧さん。オーケストラは、飯森範親さん指揮する日本センチュリ-交響楽団。3楽章を聴き終えて、ブラボー!と締めくくりたい演奏となるでしょう。また、この時期に聴いてみたい、ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界」も同時公演されるのも嬉しい。

この記念コンサートは入場無料。往復はがきに、「県文開館50周年コンサート希望」と明記し、①郵便番号②住所③氏名④電話番号⑤観覧希望人数(2名まで)⑥車椅子席希望の有無を記入の上、申込みます。宛先:〒640-8269 和歌山市松原通1-1和歌山県民文化会館「県文開館50周年コンサート係」、締切:9月30日、発表:10月中旬。応募は1人につき1回まで、応募多数の場合は、抽選の上、当選には入場整理券(座席指定)、落選には落選通知を発送。また、座席の指定はできないとのこと。

また、コンサートの模様はリアルタイム配信もされ、県文ホームページから無料で視聴できます。問合せ:同会館(073-436-1331)

きのくに音楽祭 チケット販売はじまる。

とらふすクラシック・171。
 きのくに音楽祭 チケット販売はじまる。

きのくに音楽祭2020のチケットが9月1日から、和歌山県民文化会館で販売されています。感染症拡大の影響で、いろんな困難があったと思われますが、販売がスタートし嬉しい限りです。

今年のきのくに音楽祭では、第一線で活躍するアーティストの洗練されたコンサートが4つ有料で開催されます。有料といっても、各公演とも大人3000円、学生(高校生まで)500円という手軽さ、和歌山県立図書館2Fメディア・アート・ホール100席限定の演奏会です。

オープ二ングは、10月9日(金)18時30分から、木管五重奏Wind Five+ピアノの魅力~で幕があきます。日本センチュリー交響楽団首席ホルン奏者、日高剛さん率いる、若き俊英たちの演奏で、ベートーヴェンのピアノと管楽のための五重奏曲、他。

2日目の10日(土)13時より、きのくに発掘レクチャーコンサート~頼貞とベートーヴェンショパンの音楽に光をあてて。和歌山が世界に誇る「南葵音楽文庫」を美山良夫慶應大学名誉教授がわかり易く解説。チェリスト林裕さんが、埋もれた名作を現代に蘇らせます。ショパンのピアノ協奏曲第2番、 小林仁編曲 弦楽六重奏版、他

同じく2日目の18時30分より、今夜はオールベートーヴェン~ピアノトリオの神髄をあなたに!それぞれが数々の受賞歴を持つトリオ・アコード、いま世界が注目する実力派が、ピアノトリオ第6番と第7番「大公」を。

最終日の11日(日)18時30分からは、まさにお祭り。和歌山ゆかり8人の鍵盤奏者が名曲を弾き繋ぎ、紀州道成寺を舞台にした歌曲の大作「舞」を、昨年バイロイト音楽祭デビューの金子美香さんが圧倒的な歌声で披露。そして結成30周年、澤クヮルテットのベートーヴェン弦楽四重奏曲「ラズモフスキー第3番」でクライマックス。フィナーレは、会場一体となり「歓喜の歌(直江香世子編曲)」、音楽を楽しめる日常が、再び来ることを願いながら幕を閉じます。詳しくは:https://kinokuni-fes.com/