縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

音色に宿る日本とドイツの文化と心

とらふすクラシック・324。

音色に宿る日本とドイツの文化と心
  TALISTRIO チェリスト 岡田琢朗

来る10月29日の日曜日、和歌山県立図書館メディア・アート・ホールにて、日独文化交流企画「ターリストリオ特別コンサート」和歌山公演が開催される運びとなりました。ドイツの古都アウクスブルクから「あふれる情熱と感動」をお届けするため、ターリストリオは満を持して皆さまの下へとやって参ります。ターリストリオはメンバーがまさに日独混成。二つの異なる土壌に育った者同士が互いの信念をぶつけ合いながら音を紡ぎ出してゆきます。さらに今回は、地元和歌山で活躍されるヴィオラ奏者の福田紘子さんをゲストに迎え、四重奏を共演。日本人2人、ドイツ人2人が織りなす迫真の駆け引きをお楽しみください。

私は職人のまち・堺にて、彫刻家の父と音楽教諭の母の下に生を受け、ドイツ在住歴15年目を迎えます。2011年から共に活動するドイツ人のエリーザとヴェンツェルもまた妥協を知らない芸術家魂を宿し、両文化の似て非なる職人気質が唯一無二の化学反応を起こす、それが可能になるのも音楽の醍醐味といえるでしょう。

また、今ドイツでは日本文化がさらに注目され、ドイツ人は往々にして日本文化や日本人にとても大きな興味を抱いています。サッカーでも日本がドイツに2連勝中と、これまで想像もつかなかったことが現実となり、サムライの国として何となく認知されていた日本がより積極的に意識される契機となりました。日本とドイツは産業や文化、国際的な立ち位置において不思議なほど似た影響力をもち、バチバチと火花を散らすいわばライバルのような関係でありながら、互いに欠けているものを補いながら共に成長へと進むためのベストなパートナーとも言えます。そんな日独の関係性、互いの思いを緻密に音色として表現してゆく。ターリストリオだからこそできる新しい文化交流の形、珠玉のひと時をどうぞご体感ください。当日、会場にて皆さまにお会いできるのを楽しみにしております。

岡田琢朗
ドイツを拠点に活動するフリーアーティスト。ターリストリオをメインにコンサートへ出演する傍ら、講師としてドイツ内外で日本文化・精神の普及に努める。