縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

羽根のように軽やかで、魂宿る名演奏の響きを

とらふすクラシック・286
羽根のように軽やかで、魂宿る名演奏の響きを
        フルート奏者 岡本万貴
フルートとハープ。ともに古い歴史を持ち、神話にも登場する神秘的な楽器です。このたいへん相性の良い楽器を、世界最高峰の名手が奏でる愛のコンサート! 楽しみでなりません。

プログラムには選り好みがなく耳に馴染みの作品が並びます。なんと言っても“歌”がテーマでしょう。個人的に楽しみなのはチャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』より「レンスキーのアリア」。近年フルートで演奏されることも多く、一度聴いたら耳に残る旋律が美しく情熱的で、存分に酔わされてしまいそう。

ビゼー繋がりで、名曲『アルルの女』より「メヌエット」でクールダウンの後は、ボルヌ『カルメン幻想曲』へ。フルートの超絶技巧で一気にクライマックスへとノックアウトされることを期待します!

そもそもフルートは“歌う”楽器。振動の元となるリードを使わず、自らの息の柱をコントロールして響きを作るので(息の半分は外に逃がしてしまいます)、声楽にも近いと思います。奏者の内なる情熱が伝わりやすいシンプルな楽器です。加えて、舌つき(タンギング)によって音が始まるので、奏者の話す言語によっても個性が出ます。シュッツさんはオーストリアのチロル州出身ですので、地元のブラスカペレ(民族音楽)で培った演奏から、土地の言葉、土地の音楽、ユーモアまでも感じられるかもしれませんね。ウィーン・フィルなど数々のオーケストラのソロ奏者としての世界水準の音! とにかく羽根のように軽やかでかつ魂宿るフルートの響きが和歌山城ホールを満たすことでしょう。

もう一つの楽しみは、ハープとの共演です。ハープの吉野直子さんは言うまでもなく日本を代表する奏者で、多くの世界的フルート奏者との共演も豊富。シュッツさんとも信頼関係が深く、息の合った名演奏が期待できます。バレンタイン目前の夜、夢見るような美しく優美な響きのシャワーを体感できることでしょう!

公演は、2月10日(金)19時開演、和歌山城ホール小ホールにて。前売チケット発売中(kinokuni-fes.com)。

岡本万貴 プロフィール
相愛大学音楽学部フルート科卒業。和歌山音楽コンクール第1位入賞。2017年にギターの金谷幸三氏と「黒江万金堂」を結成、2020年よりプライベートサロン「黒江音楽室」のコンサートを全国へライブ配信中(シーズン4は1月22日開幕)。