とらふすクラシック・168
偉大な二人の作曲家のコンサート
ピアニスト 宮本聖子
ベートーヴェン生誕250年の今年、世界中でそのお祝いコンサートがどれほど行われる予定だったでしょう?しかし新型コロナウィルスの感染拡大のため世界中から音楽会が消え、華々しくあるはずだったベートーヴェンの記念イヤーが一転、大きな苦境に音楽界が立たされる事態となりました。演奏会の中止、延期の連続。演奏者だけでなくホールやライブハウス、イベント・技術スタッフの方々の精神的、経済的打撃の大きさは計り知れません。大変な思いをしているのは音楽界だけではなく、コロナ禍で全世界が傷つき苦しんでいますが、そんな今、私たちに勇気と希望をもたらしてくれるのはやはりベートーヴェンの音楽であると思います。
自己の芸術を通じて未来の人類に希望を与えていくことを自らの使命としていたベートーヴェン。不屈の魂と情熱で数々の人生の苦難に立ち向かい、過酷な運命を克服していったベートーヴェンの音楽から「暗くつらい状況にあっても人生を信じ光に向かって生きていこうというメッセージを受け取り、力にしていくことが今こそ必要だと思います。
生誕210年のショパンは優雅で甘いイメージを持たれやすいですが、愛国心に溢れた情熱家でもありました。19歳でパリに渡った後二度と故郷の地を踏むことはありませんでしたが、ロシアに蹂躙され独立を奪われた祖国ポーランドを常に思い、ポーランド人であることの誇りを曲に込め、音楽を通じて祖国のために戦っていました。今私たちは新しいウィルスとの戦いの中にいます。精神的な誇りを失わずに戦う姿勢をショパンの音楽から学ぶことができるのではないでしょうか?
8月28日(金)19時よりLURUHALLにてベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」「ワルトシュタイン」とショパンのスケルツォ4曲を演奏いたします。偉大な二人の作曲家の素晴らしい音楽から、この厳しい苦難の時代を生きていく力と希望を皆さんと見つけて分かち合いたいと思っています。
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宮本聖子
東京音楽大学を経て、ベルリン芸術大学を最優秀成績で卒業。 同大学国家演奏家資格コース修了。現在大阪を拠点に多様な活動を重ねる。相愛大学音楽学部講師。