縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

音を描く、響きを彩る。黒江万金堂

本日付け。とらふすクラシック・79。
 音を描く、響きを彩る。黒江万金堂
       フルーティスト 岡本万貴

 演奏することが楽しくて仕方がない!音楽家としては当たり前のことのようですが、これがなかなか難しいのです、特にクラシックの本番においては。最近になってようやく、この自由な感覚が味わえるようになり、幸せを感じています。
 繊細で色彩豊かなギターの音色にフルートの命ある息を吹き込んでゆく。水の揺らぎが光となって部屋に差し込むそれに呼応するように、響きを、フレーズの揺れを、重ねてゆく。白いキャンパスにシンプルに筆を滑らせ、色をのせていく、時には立体的に。そんな感覚に似ています。
 五年前に、知り合いの老紳士に今は使われていない漆工場(現 黒江煉瓦堂)を見せていただきました。レンガ造りの広い空間。高い窓からは僅かな風の音と優しい光が差し込み、レンガのニュアンスを引き出している。気分が高ぶり、バッハの無伴奏パルティータを吹き続けました。そして次に思ったのが武満徹の「海へ」を、海にごく近く潮の香りのするこの場所で演奏出来たら幸せだろうな、て。ちょうどその頃ギタリストの金谷幸三さんと海南で初共演。そして昨年、念願のピアソラ「タンゴの歴史」全楽章演奏が叶い、金谷さんからの「武満の海へ。をやらない?」の誘いが、「黒江万金堂」結成のきっかけとなりました。黒江で生まれたギターとフルートのユニット、クラシックでありながら自由な精神で挑戦し続ける。この町とシンクロしているようです。
 黒江万金堂今シーズンのプログラムは、海から山へ。R・ビーザーの「山の歌」は雄大な自然を思わせる素朴な美しさで、黒江万金堂らしさがもっとも表れる曲。インドのシャンカール「魅惑の夜明け」は独特の香りが楽しめる。そして金谷さんが編曲の吉松隆のアトムハーツ・クラブ・デュオはまったくの遊びの世界。10月28日(日)14時〜、LURUHALLにて体感していただけます。ご予約は073−457−1022まで。または「黒江万金堂」で検索!

プロフィール
海南生まれ、相愛大学音楽学部フルート専攻卒業。2013年から3年に渡り黒江煉瓦堂にてクラシックコンサートを企画、出演。人の心に届く癒しの音を追求している。
 

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