縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

春のひとときに、ドイツ歌曲を。

本日付け、わかやま新報、とらふすクラシック・102
  春のひとときに、ドイツ歌曲を。
        ソプラノ 森 紀吏子
「きみは花のよう/とても愛らしく/美しく純粋で/きみを見つめると/物悲しい気持ちが/心の中に忍び込んでくる・・・」(ハイネの詩集『歌の本』より)この甘く切ない恋の詩に、かつて多くの作曲家が曲を書きました。シューマンも後に妻となるクララへ贈った歌曲集「ミルテの花」の中に収めています。シューマンはとても短い曲に作曲していますが、恋をしている時の多幸感、切なさが目一杯詰まっており、ため息が聴こえてくるかの様です。

ドイツ・リート(ドイツ歌曲)は、歌劇の中の独唱曲ではなく、独立した詩に作曲家が曲を書いたものです。18世紀・19世紀のゲーテ、ハイネ、シラーといった詩人の作品に、当時の作曲家たちは、こぞって曲を作りました。詩とその情景と情感が、音楽を伴い、歌い手とピアノ奏者によって演奏されます。歌い手が紡ぐ、詩の持っている韻律・抑揚に、ピアノ奏者による“音楽”の語りが加わり、表現の幅が広がっていきます。シューベルトゲーテの「ファウスト」の詩に作曲した「糸を紡ぐグレートヒェン」では特にその効果が大きく、狂気への世界が垣間見えます。

4月から“きのくに音楽祭” プレコンサート、フォルテピアノ広場クラシックス”シリーズが始まります。会場の楽器がベーゼンドルファー社のピアノという事もあり、ドイツ歌曲を主に取り上げる事に決めました。和歌山大学教育学部教授、山名敏之先生がピアノを演奏して下さいます。“春”を主題にしたドイツ歌曲は多く、当日はシューベルトの「春に」「ます」、シューマン「ミルテの花」より数曲とモーツァルトのコンサートアリア等演奏致します。春のひとときに、是非ドイツ歌曲を楽しみにお越しください。4月13日(土)午後2時より、和歌山市本町二丁目のフォルテワジマ4階ピアノ広場にて開催します。御予約不要ですが、御一人様千円以上の寄付をお願い致します。(全額“きのくに音楽祭”へ寄付させて頂きます。)

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プロフィール:森紀吏子
和歌山市出身。国立音楽大学音楽学部声楽科卒業。2010年渡伊。ミラノ市立音楽院古楽科にて、ルネサンスバロック声楽、リュートのディプロマを取得。18年春帰国。活動の場を日本へと移している。