縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

3つのヴァイオリンソナタを楽しむ・・・

 3つのヴァイオリンソナタを楽しむ・・・
         ピアニスト 千田和美

 ヴァイオリンとピアノの組み合わせの演奏会はよくある。ヴァイオリニストにとっては大抵の場合「ピアノ伴奏」は必要不可欠なので、自身のコンサートにはピアニストを連れてくるということになり、当然「ヴァイオリンとピアノ」の組み合わせの演奏会は多くなる。ところが実は、それが「ヴァイオリニスト」のための「ヴァイオリンのコンサート」なのか、それとも「ピアノとヴァイオリンによる室内楽のコンサート」なのか、プログラムによって違う。この違いはもしかしたら専門的に音楽の道に進む人しか知らないかもしれない。
 いや、音楽の道でもピアノで進んだ人の場合、他の楽器と関わる機会が無ければもしかしたら知らないかもしれない。「室内楽」というカテゴリーは、どちらかが「メイン」でどちらかが「伴奏」という立場ではない。全くの五分五分の立場で演奏するのが「室内楽」なのだ。プログラムによって室内楽かそうでないかが分かると書いたが、分かりやすく言うと「ソナタ」という名前がついている曲は全て「室内楽」というカテゴリーになる。「ヴァイオリンソナタ」という名前がついているにもかかわらず、それはヴァイオリンとピアノ五分五分の曲なのだ。私は「伴奏者」として他の楽器のためにピアノを弾くことも好きだが、他の楽器と共に対等の立場で「音楽を作る」ことが大好きだ。一人で弾いているよりずっと楽しい(笑)。
 それはどうしてか。自分と他人の「音」がピタッと合わさることが楽しいのか。いや、そうではない。自分の音楽の「感じ方」が相手に伝わり、相手が瞬時にそれを感じ取りそして応えてくれたときの一瞬が、何とも言えない幸福感と充足感で満たされるからだ。これは経験したことのある人にしか分からない快感だと思う。今回、久しぶりのデュオリサイタルで私たちは3曲のソナタを選んだ。私たちがいかに「室内楽」を楽しんでいるか、聴衆の皆様に感じ取っていただけたらこんなに幸せなことはない。

千田和美 桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学卒業。インディアナ大学音楽学部大学院パフォーマー・ディプロマコース修了。全日本ピアノ指導者協会正会員。
 

クリック→にほんブログ村 音楽ブログへ