縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

変奏曲への誘い〜楽興の時クラシックコンサート

今日付け、わかやま新報”とらふすクラシック・48”
変奏曲への誘い〜楽興の時クラシックコンサート
         ピアニスト 宮下直子

春の訪れが待ち遠しい今日この頃です。さてこの度、暫く休止していました「サタデーアフタヌーンコンサート」を「楽興の時クラシックコンサート」と改め、新たなシリーズとして、スタートする運びとなりました。第1回目のコンサートは、前半に、私がこの数年取り組み続けたJ.S.バッハの孤高の名曲「ゴルトベルク変奏曲」、後半は、シューベルト即興曲の中から「ロザムンデの主題による変奏曲」、そして同じくシューベルトの「創作主題による変奏曲」をフォルテピアノ奏者の山名敏之さんにピアノ連弾で共演して頂きます。
何故「変奏曲」なのかと興味を持って下さる方がいらっしゃったので、私自身も数ある形式の中で、なぜか「変奏曲」を良く好んで演奏して来たことに気が付き理由を考えてみました。先ず、変奏曲とは、ある旋律を主題にそれを様々に変形する技法を変奏といい、その主題といくつかの変奏からなる曲を変奏曲といいます。その技法は歴史的にも個人的にも多種多様で、それだけに作曲家をあらゆる面から知ることのできる名刺のようなもの、或いは演奏者に対しては一種の挑戦状のようにも感じます。ベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」で有名なディアベリが、50人の作曲家に依頼して出来た変奏曲があります。驚くべきことにその変奏の仕方の違いで、これはリスト、これはシューベルト、とわかってしまうのも面白いし、初見で弾けそうな曲、永久に演奏不可能な曲もあり、同じ主題なので統一感もあり、これこそ変奏曲の傑作な例だと思います。
さて、バッハのゴルトベルク変奏曲シューベルトの各変奏曲については色々謎もあり、その辺は当日曲目解説で触れるとして、これらの作品に出会ったことで、この齢にしてまだ道は果てしなく遠いということを思い知らされつつ、鍵盤に指を走らせ脳がよじれそうになりながら、当日が楽しみにも恐怖にも思える今日この頃、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

=プロフィール= 宮下直子 和歌山市在住。東京藝術大学卒業。在学中安宅賞受賞。ロンドン留学を経て帰国。各地で演奏活動を重ね、県文化奨励賞、市文化奨励賞受賞。相愛大学講師。


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