縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

「ある晴れた日に」~ 「蝶々夫人」特別上映会

わかやま新報
とらふすクラシック・369

「ある晴れた日に」
   「蝶々夫人」特別上映会

      伏虎シネオペラの会 代表 西川和樹

伏虎シネオペラの会上映会は、ご来場いただいた皆様のお声のもと、第6回目の特別上映会の開催を致します。今回の作品は、日本を舞台に日本人にもなじみの深い「蝶々夫人」(作曲:ジャコモ・プッチーニ)。プッチーニ作品としては、「トスカ」(第4回)「トゥーランドット」(第5回)に次ぎ3作品目となります。

蝶々夫人」のあらすじなどをご紹介出来ればと思います。時は明治。若き芸者・蝶々さんとアメリカ海軍士官ピンカートンとの美しくも哀しい恋物語プッチーニ作品はどの作品も心理描写が非常に分かりやすく、本作品でも蝶々さんの深い愛が直線的伝わってきます。明治時代の日本とアメリカ、愛を貫くには現在では考えられない障壁が二人の間には立ちはだかります。様々な障壁がありながらも蝶々さんのピンカートンに対する純粋で素直な愛が、時に美しく、時に哀しく、揺れ動く蝶々さんの心理描写が鑑賞する人の涙を誘います。作中、蝶々さんが歌い上げる「ある晴れた日に」は本作品の代表的なアリア。またプッチーニ作品でありながら、日本のメロディーもモチーフにした作品は、海を飛び越え、西洋と日本の音楽が融合した傑作として世界中の人々に愛され続けています。

本作品の初演は、1904年、スカラ座。文化の違う日本を舞台にした事で興行的に失敗したとの記録があります。初演当時、受け入れがたかった本作品が、世界中の人から愛され、現在も上演され続ける理由は、他文化への理解・尊敬があった事は確かであると信じています。そこにはプッチーニが文化の違いとして、排他的に揺れ動く蝶々さん心理を描くことなく、一人の女性としての心理を描く事で、世界的に有名な作品になったと思います。

役を演じるのは、ミレッラ・フレーニ蝶々夫人プラシド・ドミンゴ(ピンカートン)の2大スター。この上映会は、9月13日(金)和歌山城ホール、開演午後2時。マチネでお待ちしております。前売2500円。当日2800円。問合:080-3764-8811まで

西川和樹
伏虎シネオペラの会代表。和歌山城ホールの建つ元伏虎中学校の卒業生。京都在住。新しいホールに相応しいエンターテイメントをと、大画面での日本語字幕付の特別上映会を行なっている。