とらふすクラシック・363
未来に響け 夢の協奏曲
夢の協奏曲実行委員会 代表 千田和美
オーケストラとの共演。これが音楽をやっている者にとって、どれほど大きな夢かお分かりだろうか。私は長年のピアノ人生の中で、何度かオーケストラとの共演の機会をいただきましたが、その度に感じる喜びと興奮は言葉に尽くせないものがありました。この経験が私の音楽への情熱を燃え上がらせ、音楽の楽しさを一層感じさせてくれたのです。
その素晴らしい体験を、まだ成長途中の子どもたちにもぜひ味わってもらいたいと強く思ってきました。ピアノやバイオリンを習う子どもたちは、日々一人で練習し、一人で舞台に立つ孤独な戦いを強いられます。でもオーケストラとの共演は違うのです。多くの楽器が一体となり、様々な音が交わることで、まるで異次元の世界にいるかのような感覚を味わうことができるのです。隣には音楽の仲間がいて、一人ではない安心感と共に、素晴らしい音楽を作り上げる喜びを体験することができるのです。
この夏、そんな私の夢がついに実現し、子どもたちと夢を持って音楽に向かっている方々、12人がオーケストラと共演するコンサート「未来に響け 夢の協奏曲」を開催出来る運びとなりました。この機会を通じて、出演者の皆様が音楽に対する情熱を高め、音楽の新しい世界を発見してくれることを願っています。そしてこの体験が彼らの今後な音楽人生に大きな影響を与え、未来の音楽に対する見方を変えるきっかけになると信じています。
第一回目の今年、オーケストラは一昨年発足した和歌山初のプロオーケストラの和歌山フィルハーモニー管弦楽団、そして指揮者はきのくに音楽祭のファイナルコンサートで振っていただいた伊藤翔さんをお迎えしております。出演者の子供たちや皆様には、一流の音楽家との共演やその空気の中で演奏する喜びをを知っていただき、そして会場にお越しの皆様には、その中でいかに子供たちや大人の方々が堂々と演奏するのか、オーケストラと融合しながら華やかに演奏するのかを楽しんでいただければと思います。
千田和美
和歌山市出身。ピアニスト。桐朋学園大学・インディアナ大学大学院ディプロマコース修了。相愛大学・同志社女子大学音楽学部嘱託講師。PTNA正会員。文化庁派遣芸術家。