縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

オーボエとピアノによるデュオコンサート~夢と現実の間で~

とらふすクラシック・193。

 オーボエとピアノによるデュオコンサート~夢と現実の間で~
            オーボエ奏者  太田愛

みなさんはオーボエという楽器をご存知でしょうか。楽器のことは知らなくても、音色を聴いてみると今までに耳にしたことがあるという方が多いかもしれません。 オーボエとは元々フランス語で高い木という意味で、オーケストラの中では主旋律を受け持つことが多い楽器です。例えばチャイコフスキー作曲の白鳥の湖での最も印象的なメロディはオーボエによって演奏されます。

オーボエのために書かれたコンチェルト(協奏曲)はいくつかありますが、今回はドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスが遺したオーボエ協奏曲をご紹介したいと思います。 シュトラウス(1864ー1949)は交響詩ドンファンやオペラのサロメなどで知られる作曲家です。 彼は第二次世界大戦中も作曲活動を続けていましたが、戦争の影響を受け活動の縮小を余儀なくされ当時は管楽器や小さなアンサンブルのための作品を主に作曲していました。 第二次世界大戦終結した数日後、後にアメリカのフィラデルフィア響のオーボエ奏者の職に就くことになるジョン・・ランシーがシュトラウスの元を訪れ、オーボエ協奏曲を書く気はないかと話を持ちかけたことがきっかけでシュトラウスオーボエ協奏曲の作曲に取り掛かることになります。この曲は通常の編成より小規模のオーケストラと独奏オーボエのために書かれており、曲は三楽章構成で楽章間は途切れず続けて演奏されます。

2月23日(火・祝)の14時から和歌山市のLURUHALLでオーボエとピアノのデュオコンサートを開催します。このコンサートでは今回ご紹介したシュトラウスオーボエ協奏曲(ピアノ伴奏版)の他、和歌山では中々聴けないプログラムを演奏します。 感染症防止対策のため会場の座席数は15席のみとなりますが、動画配信もあります。配信はコンサート後一週間ご覧いただけます。会場チケットは3000円、配信チケットは1500円。詳しくはLURUHALLのホームページをご覧ください。
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太田愛
和歌山市出身。武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科卒業後、渡欧。マーストリヒト音楽院(オランダ)、モンベリアール音楽院(フランス)にて研鑽を積む。第43回和歌山県新人演奏会奨励賞受賞。

中谷政文ピアノリサイタル

とらふすクラシック・192。

 中谷政文ピアノリサイタル

和歌山市出身のピアニスト・中谷政文さんのリサイタルが開催されます。平成30年度の和歌山市文化奨励賞受賞記念の演奏会で、真舟芸術振興基金若手藝術家支援事業の一環として行なわれるものです。

中谷さんは、幼い頃からその才能を開花させ、全日本学生音楽コンクール全国大会ピアノ部門小学校の部で第1位、
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を卒業。その後渡米、インディアナ大学でピアノ専攻の修士課程を修了、マイアミ大学でピアノ演奏・教授法専攻の博士号を取得。そして、第8回ソフィア国際ピアノコンクール第1位など、数多くの受賞を重ねています。

今回のプログラムは、C.P.Eバッハ:ピアノソナタWq.55/3 (H.245)、ベ-ト-ヴェン:ピアノソナタ第29番 作品106「ハンマ-クラヴィ-ア」、ブラ-ムス:16のワルツ 作品39、ワ-グナ-=リスト:歌劇「タンホイザ-」序曲。演奏技術だけではなく、ダイナミックな迫力と豊かな表現力や繊細な叙情性が求められる、とても聴き応えのある構成となっています。

中谷さんは、このプログラムについて、次のように記しています。「ドイツ音楽が奏でる精神の飛翔がテーマとなっております。ベートーヴェンが掲げた音楽的イディオム”苦悩を突き抜けて歓喜へ”は、後世のドイツ人作曲家たちの中に脈々と受け継がれていき、その音楽を聴いた人々の中に言葉では形容しがたい精神的な高揚感をもたらしてくれます。無情にも様々な社会的活動が制約される昨今の世情において、音楽が人々に与えてくれる心の豊かさという恩恵をあらためて認識し、本公演においてその喜びを皆様と分かち合うことが出来ましたら、これ以上の幸せはございません。」

この演奏会は、3月13日(土)15時から、和歌山市民会館小ホール。¥2000(全席自由)。問合は、同会館(073-432-1212)まで

第46回 和歌山市交響楽団・市響合唱団演奏会

とらふすクラシック・191。

 第46回 和歌山市交響楽団・市響合唱団演奏会
和歌山市民会館は、今年の秋に、和歌山城ホールとして生まれ変わります。とても楽しみなことです。1979年の完成から永きにわたり、多くのアーティストたちがステージに登り、たくさんの観客たちを楽しませてくれました。そんな名残惜しい気分と新しい期待に満ちた気分で聴いてみたい和歌山城ホール開館プレ事業 第46回和歌山市交響楽団・市響合唱団演奏会が開かれます。全国の芸術ホールの響きを採点する「音響デザイン論評」のサイトでも、優れたホールとして高得点を得ていたホールだけに、残り少ないオーケストラの演奏会の響きを、耳に残してみるのもいいでしょう。

一部は、江田司さん指揮による、J.シュトラウス2世のポルカ「雷鳴と稲妻」、L.アンダーソンの「タイプライター」「おどるねこ」に、モーツァルトの「バイオリンとビオラの為の協奏交響曲変ホ長調KV364」です。ソロ奏者は、林功(バイオリン)さんと林のぞみ(ビオラ)さんご夫妻です。功さんは、元和歌山市交響楽団コンサートマスターのアマチュアで、本職は弁護士。のぞみさんは、東京藝術大学卒、同大学院修士課程修了。関西フィルハーモニー管弦楽団ビオラ首席奏者を経て、国内外で活動を重ねています。

二部は、小川雅之さん指揮の和歌山市中学校合同合唱団で「花は咲く」「群青」。そして、市交響楽団によるJ.シュトラウス2世「音楽の冗談 常動曲」、ベートーベンの交響曲3番「英雄」から第4楽章。フィナーレは、市交響楽団・市響合唱団で、混声合唱のための唱歌メドレー「ふるさとの四季」(管弦楽編曲:源田俊一郎)で締めくくります。

この演奏会は、2月7日(日)14時から、和歌山市民会館大ホール(073-432-1212)で行なわれ、料金は1000円(学生500円)。残念なのは、コロナ禍の影響により、合唱団の出演が直前まで不透明ということです。練習の成果がステージで披露できることを祈るばかりです。

ハッピーバースデー!モーツァルト

とらふすクラシック・190。
   ハッピーバースデー!モーツァルト
       ピアニスト 小路里美
楽家の人生は往々にして波乱万丈ですが、亡くなって200年以上経っても誕生日や命日に記念イベントを開催していただける人がいると思うと天国で報われる職業なのかなと思います。モーツァルトは、その最も代表的な人物で、今年は生誕265周年目にあたります。生誕260周年には各地で多くのコンサートが開催されましたので、良い思い出をお持ちの皆様も多いと存じます。

さて、今年もコロナ禍でコンサート開催は困難ですが、モーツァルトと同じみずがめ座で、彼の故郷ザルツブルクとウィーンに長く住んでいた私には兄弟の様に親しく感じる作曲家ですので、何らかの形で1月27日にお祝いをしたいと、思いを巡らせていました。和歌山県は安全で自然に恵まれた地域です。私は、お祝いは和歌山県内のどこかで、とインターネット情報を探しました。そこで決まったのがピノテラスです。ピノテラスにはアリストクラートという貴族を意味する愛称を持つ、アンティークピアノKnabe(少年)があります。

まるでヴォルフィ(モーツァルトの愛称)が選んだのではないかと思われるようなピアノで演奏させて頂くことになるとは思ってもみませんでしたが、皆様にKnabeの音色でモーツァルトを聴いて頂くことが出来て嬉しく思います。日本には数少ない、歌声を思わせるピアノの音色を是非お楽しみ下さい!Knabeピアノの創始者、ヴィルヘルム・クナーベさんはモーツァルト没後12年目に、バッハの故郷アイゼナハに近いクロイツブルクで生まれた方です。その後アメリカに移住されピアノメーカーを立ち上げられましたので、Knabeはアメリカのピアノですが、クナーベさんのドイツ人魂が込められていると思います。

コンサートは13時から、入場料はモーツァルトの誕生日を祝ってお一人1000円、25名様限定です。皆様とお祝い出来るのを楽しみにしております!問合:和歌山市湊3丁目5−22 ピノテラス(073-488-6308)

                                                                                                                                        • -

小路里美 ピアニスト
紀の川市在住。Music Office 小路清忠 Artists Circle代表。1996年ウィーン国立音楽大学大学院芸術修士号取得。コンサートピアニストとして日本各地とヨーロッパ、アジア各国で音楽活動を展開する。

ベートーヴェン「幻想曲風ソナタ」

とらふすクラシック・189。
  ベートーヴェン「幻想曲風ソナタ

和歌山市本町2丁目フォルテワジマ4Fのフォルテピアノ広場。ストリートピアノよろしく、だれでも気軽に、いろんな演奏者の音楽を楽しめるスポットとして、お買い物客に愛されています。ピアノの名器・ベーゼンドルファーの音色に誘われ、自由に出入りできる気兼ねなさも人気のようです。

そのピアノ広場のレギュラー・ピアニストの木谷悦也さんが、生誕250年のメモリアル・イヤーを迎えている大作曲家、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ2曲を弾きます。どちらかというと、ピアノ広場では、聞きやすい曲、馴染みやすい曲など、小品やオリジナルを弾くことが多かった木谷さんですが、メモリアル・イヤーには、ベートーヴェンソナタを弾いてみたい衝動にかられたようです。

今回のプログラムは、ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調Op.27-1とピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調「月光」Op.27-2です。いずれもベートーヴェン自身により「幻想曲風ソナタ」との名づけられ、厳格な楽式によるソナタと自由な幻想曲との融合がみられています。とりわけ14番は、ベートーヴェンの三大ピアノ・ソナタの一つとして知られています。木谷さんの心境を映し出す演奏になることは間違いありません。

木谷さんは、和歌山市生まれ、大阪音楽大学器楽科ピアノ専攻を首席で卒業。ミュンヘン音楽大学、パリ・エコール・ノルマルにてピアノ、指揮法を学びます。アーヘン市立歌劇場音楽総監督助手、ガウディ・ミュージカル音楽監督を務め、2012年1月にはスペインにてピアノ・コンサートを開催。帰国後も、ピアニスト・指揮者としての音楽活動を重ね。昨年10月「演劇街道きのくにプロジェクト✖️紀三井寺開創1250年記念 千年前から君を探していた」では、全曲作曲し自らのピアノ演奏で舞台を盛り上げました。

この演奏会は、今週16日の土曜日14時から、フォルテピアノ広場で、観覧無料で行なわれます。ぜひ、お越し下さい。

辻井伸行日本ツアー 2021 《ロマン派》

とらふすクラシック・188。
  辻井伸行日本ツアー 2021 《ロマン派》
新年あけましておめでとうございます。元旦恒例のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ニューイヤーコンサート、2021年はリッカルド・ムーティの指揮で行われ、無観客のウィーン楽友協会から世界中に衛星中継されました。なんとなく違和感を覚えながらも、お決まりのラデッキー行進曲では、テレビの前から手拍手をあわせた方も多かったのではないでしょうか。

年明け早々、人気のピアニスト・辻井伸行さんの和歌山公演が発表されました。辻井伸行日本ツアー 2021 《ロマン派》です。辻井さんは、昨年のコロナ禍の中、5月にYOUTUBEで、松任谷由実さんの「春よ、来い」を公開、230万回を越す視聴回数を重ね、さらに12月には、山下達郎さんの「クリスマス・イブ」を公開するなど、コロナウィルスが早く終息しますようにと、 POPな名曲にも想いを込めた演奏を重ねています。また、昨年6月には有料オンライン・コンサートを4週連続で開催、クラシックでは異例といえる多くの視聴者数で話題となりました。

今回は、途中休憩なしの約1時間のコンサート。プログラムは、シューマン作曲「蝶々」「子供の情景 <全13曲>」、リスト作曲「リゴレットパラフレーズ」「愛の夢第3番」「メフィスト・ワルツ 第1番」です。「トロイメライ」を含む「子供の情景」では、辻井さん独特の優しさと美しさ溢れ、「メフィスト・ワルツ 第1番」では、超絶技巧の数々に圧倒されるに違いありません。ロマン派を代表するシューマンとリスト。互いに影響を与え、時には火花を散らした二人の作曲家に浸れるリサイタルです。

本公演は、3月5日(金)午後7時から、和歌山県民文化会館大ホール。チケットは、S席7700円、A席6600円、B席5500円。優先予約は1月18日(月)あさ10時から、けんぶん友の会(073-436-1331)とABCぴあ(WEB)。一般発売は1月18日(月)あさ10時からです。

“歌こそ命~Songs” 歌とピアノで綴るクリスマス

とらふすクラシック・186。
   “歌こそ命~Songs” 歌とピアノで綴るクリスマス
今年もクリスマスがやってきます。音楽にとっても大変な年でしたが、こんな時こそ、声を揃えて元気に歌いたい・・・この19日(土)14時から、和歌山市本町2丁目のフォルテワジマ4階大ホールで、恒例の「“歌こそ命~Songs” 歌とピアノで綴るクリスマス」が行われます。

まず、シャンソン清水香予子さん。「♪たとえ明日死んでも 心ゆくまで歌おう」というサーカスでもヒットした
人気曲「シャントゥ」で幕があきます。わかやまパリ祭を永年続けてきた思いにのせて、冬のパリの情感たっぷりに。

続いて、シンガー・ソングライターの刀禰知美さんは、ジャジーにソウルフルに、「きよしこの夜」「ウインターワンダーランド」など披露。この春リリースされた自身のアルバムから収録曲を歌ってくれかもしれません。

そして、宝子さん。「ジングルベルロック」「オーホーリーナイト」などお馴染みの名曲たちに加え、オリジナルのウインターソングを、自慢のナチュラル・ヴォイスで楽しく歌い綴ってくれます。

今年、CD デビュー十周年を迎えた演歌歌手の宮本静さん。”冬艶歌”として、「風雪ながれ旅」など演歌の名曲をピアノアレンジで。「♪小雪まいちる紀ノ川に……」と、医聖・華岡青洲を歌う「我が名は青洲」はもちろんです。

ここ数年、欧州での研鑽を重ねてきたソプラノ歌手・矢倉愛さんは賛美歌やオペラ・アリアに、ポップなシーズンソングを加えて“歌こそ命~Songs”を締めくくります。

そして、世界名器といわれるベーゼンドルファーのピアノ伴奏は木谷悦也さん。欧州で10年にわたり劇場付ピアニストを務めてきた洒脱なピアノは、5人の歌姫を楽しくサポートしてくれます。

7回目を迎える“歌とピアノで綴るクリスマス“。この演奏会は、観覧無料で、お一人1000円以上の、投げ銭をお願いしています。また、マスク着用、記名、検温、消毒など感染症対策にもご理解とご協力をお願いいたします。