縷々のつぶやき

昭和11年創業!岩喜蓄音機店の3代目店主。現在は、LURU MUSICとして、CDショップ、音楽ホール、音楽制作、音楽イベントなどの企画運営を通じて、地域から世界を楽しくすることを日々楽しんでいます。旧:演歌商店のつぶやき。

「銀の草原 金の月」初演発表に寄せて

本日付け。とらふすクラシック・84。
「銀の草原 金の月」初演発表に寄せて
          作曲家 竹家富紀子

今年9月21日、兵庫県立芸術文化センターにて、フルートを岡本万貴さん、ハープを川口麻紀さんの演奏で「銀の草原 金の月」の初演発表をしました。主催は「響の会」、今回が22回目で、希少な現代曲初演発表のコンサートを行っています。「銀の草原 金の月」は、生石高原のススキ野原の夕景を描きました。ハープが波のようにさざめく風を、フルートが揺れる穂に漂う情感を幻想的に表現しています。好演のお陰もあり、「情景が目に浮かぶようだ」と、好評を頂きました。作品にグランドハープを用いたのは初めての試みでした。
楽器にはそれぞれの特性と制約があります。脳内の想像だけで理にかなった楽譜にするには無理があります。例えば黒鍵を持つピアノとは異なり、ハープでは足元の7本のペダルを操作することによって半音に対応します。その動作に伴うインターバルの考慮が要ります。響き方を知る為、アイリッシュハープを手に入れ、演奏方法を川口さんに教えて頂きながら書き進めました。楽器を熟知している演奏者の協力は不可欠なのです。手間の掛かる作業にお付き合いくださったお二人に大変感謝しています。
新曲を書く時はいつも「新しい試み」と「聴き手との共感」の間のジレンマに悩まされます。永遠の課題でしょう。只、和歌山をテーマにする時は、湧き上がる気持ちに自然に寄り添って作るので、方向性を見失うことがありません。以前の作品に熊野古道藤白山をテーマにした「はるかかなた」、紀三井寺の桜とぼんぼりの明かりを描いたチェロの作品「追想―花明かり」などがあります。どれも日本的な響きの中に新しい要素を取り入れ、和歌山への愛を込めて作曲したものです。
そしてこの度、和歌山初演の機会を得ることとなりました。12月1日(土)15時〜和歌山県立近代美術館にて、岡本さん・川口さんによる友の会ミュージアムコンサートです。14:30開場、先着120名入場無料。是非お運びください。
プロフィール 竹家富紀子 海南市生まれ 神戸女学院大学音楽学部作曲専攻卒業、同研究生修了。作曲を飯田正紀、森川隆之、石黒晶の各氏に師事。毎年新曲を発表、また編曲も行っている。
 

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スタインウェイ選定記念 デュオリサイタル

本日付け。とらふすクラシック・83。
スタインウェイ選定記念 デュオリサイタル
      和歌山ライブの歩き方 岩橋和廣

この春、東京藝術大学学長でバイオリニストの澤和樹先生と奥様のピアニストの蓼沼恵美子先生、お二人の演奏会がLURUHALLで行なわれました。シューベルトブラームスなどソナタ4曲を二日連続で演奏されたのです。素晴らしい演奏会だったのですが、さすがに永年使っていたピアノが悲鳴をあげそうになり、両先生のご提案で、この小さなホールに相応しい新しいピアノとして、スタインウェイB211を撰ぶことになりました。

世界の名器として知られるスタインウェイの中でも、B211は、開発されてから100年以上もたち、多くのピアニストたちから「完璧なピアノ」と呼ばれるモデル。ドイツのハンブルグで職人さんの手作りで作られますが、やはり、木の楽器、一台ごとに微妙に響きが違うのです。そこで、どの個体にするのか選定が要るのです。

今回の剪定は、蓼沼先生とLURUHALLの杮落としから、何度も演奏をお願いしている宮下直子先生のお二人にお願いしました。東京のショールームに、あらかじめ選ばれた3台のピアノが並んでいます。お二人で何曲か交代で弾いては、聞いていきます。そして、同席の全員の意見が一致した、優しい音色の一台に、決まったのです。

6月にLURUHALLにやってきたこのスタインウェイで、何度か演奏会がおこなわれ、ホールにマッチした音色に、「こんな豊かなピアノは聴いたことがない・・」など、嬉しい声を数多くいただいています。

11月25日(日)15時から、選定いただいた二人のピアニストによる、ソロあり4手連弾ありの楽しいピアノリサイタルが開かれます。ドビュッシー「小組曲」、ショパン「子守歌」、シューマン子供の情景」、シューベルト「幻想曲」など、新しいピアノの音色にぴったりのプログラムです。終演後には、ピアノ談義が楽しいスパークリングワイン&軽食パーティ付、5000円。限定33席です。問合せは、LURUHALL(073-457-1022)
 

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ピアノ・ヴァイオリン デュオ・リサイタル

本日付け。とらふすクラシック・82。
ピアノ・ヴァイオリン デュオ・リサイタル
ピアニスト 千田和美

モーツァルト、ベートーベン、ブラームスソナタを演奏します」と言うと、皆さん「難しい大曲ばかりですね」とおっしゃる。これはもちろんその通り。特に今回のモーツァルトは「傑作」と言われているものだし、ベートーベンも「スプリングソナタ」という題名まで付けられていて大変親しまれている傑作だ。そしてブラームスの3番においては、なんと「この曲の大ファンです」とおっしゃる方が多いことか。
 さて、ここでふと考える。ではこの中で「一番難しい曲」はどれだろう?この答えが私たち音楽家にとってはとても興味深い。楽譜を見るとどう考えてもブラームスが断トツで一番難しい。そもそも音がめちゃくちゃ多い。そしてその音の動きが激しい。新しい楽譜のはずなのに開くとすでに黒く見える(笑)。特にピアニストは「これはもはやソロでは?」と皆さん泣かれるほどの音の数だ。
 一人でも弾くのが難しいものを他の楽器と合わせるのだから、これはもう難しいに決まっている。当然1回目の合わせなんて、微妙なタイミングがつかめずに顔を見合わせて笑ってしまう部分もあったりする。その点モーツァルトは違う。音が少ない上に動きもシンプル。楽譜を見ても白い。合わせもそう難しくはない。1回目からさらっと難なく合ってしまう。ベートーベンもモーツァルトほどではないがその方向だ。
 ところがである。合わせを何回かするうちにどんどん逆になっていくのだ。モーツァルト、ベートーベンがなんと難しいことか。やればやるほど難しく感じる。逆にブラームスはどんどん肌に馴染んでいく感じがして、どんなテンポでもどんな歌いかたでも、相手が「その時だけいつもとは違う」ことをしてもピタリと合わせられたりする(これはもちろん相手によっては逆に不可能だが)。 作曲家によって「難しさ」が全く違うのだ。さて、本番まであと少し。そういう難しさも乗り越えた「音楽」だけを、客席の皆様に感じていただけるよう頑張りたい。

千田和美 桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学卒業。インディアナ大学音楽学部大学院パフォーマー・ディプロマコース修了。全日本ピアノ指導者協会正会員。
 

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今年最後のジョイントコンサート

本日付け。とらふすクラシック・81。
今年最後のジョイントコンサート
和歌山ライブの歩き方 岩橋和廣

毎月第3土曜日に開催されるLURUCLASSICCAFE。26回目となる11月のLURUCLASSICCAFEは、コーラス、ハンドパン、ピアノ、バイオリンの四組の組合わせ。今年最後のジョイントコンサートとなります。

1組目は、初登場!ママさんコーラスのグレイスフルボイスさん。今回は20名のメンバーから9名で参加されます。育児や仕事、日々の生活に追われ、家族のために走り回る普通の主婦たちが、「ハピネス」「何度でも」など馴染みのあるポップスやゴスペルを歌います。

2組目は、ハンドパンの平野陽平さん。ハンドパンは、2000年頃、スイスで開発された金属製のメロディー打楽器。全国で、100人位しか奏者のいない珍しい&新しい楽器です。「星降る夜」「水中花」など全曲オリジナルで、美しい音色の癒しのサウンドを奏でます。

3組目は、ピアノの船本真依子さん。東京でモデルとして活動されたこともある船本さんは、クラシックとジャズという異なる分野で活動するピアニストです。ショパンスケルツォ第3番嬰ハ短調Op.39、ピアソラの「リベルタンゴ」に、オリジナルの「ノクターン」というユニークなプログラムです。

そして、最後に登場するのが、バイオリンの石田知子さんとピアノの瀧本裕子さん。デュオとピアノ・ソロで、エルガーの「愛の挨拶」たマスネの「タイスの瞑想」、サティの「ジュ・トゥ・ヴ」など馴染みのある名曲ばかりという締めくくりに相応しいプログラムです。

30分毎にステージが転換、あなたの知らない音世界の楽しさに出会えるかもしれません。11月17日(土)14時から。チケットは1500円(フリーソフトドリンク付)限定50席。県民文化会館、和歌山市民会館でチケット取扱中。WEBは、こちらから。http://musicmart-ticket.com/ 問合せはLURU HALL(073-457-1022)まで
 

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 すべてに感謝を込めて歌う

本日付け。とらふすクラシック・80。
 すべてに感謝を込めて歌う
神戸女学院大学学長、音楽学部教授 斉藤言子

 私の声楽家としての原点は和歌山にあります。小学校2年生から5年生の終わりまで、NHK和歌山児童合唱団(現:和歌山児童合唱団)に所属していました。厳しい入団テストがあり、学校の勉強との両立も条件で、毎年通知表の提出もしなければなりませんでした。
 そんな中で、歌うことの楽しさを知り、高度な音楽基礎を身に付け、ステージに立ちお客様とも音楽を共有することの素晴らしさ、舞台でライトを浴びる演奏者のために、裏方として多くのスタッフが支えて下っていることへの感謝も知りました。そして音楽を磨き表現するために、音楽以外の分野の多様な知識・経験の必要性に気づき、リベラルアーツ教育の先駆者である神戸女学院大学音楽学部に進学しました。
 小学校5年生までは和歌山大学の付属小学校に在籍し、そこでは自ら考え発信してゆくことを学びました。学芸会では劇のストーリー、台本、BGMも自分たちで考え、合唱曲も作詞作曲し発表しました。大学卒業後すぐ2年間のイタリア留学を経て声楽家としてデビューしましたが、今に至るまで和歌山の方々には多大なサポート、応援をいただいています。
 現在は母校神戸女学院大学の学長、音楽学部教授として、同時にオペラ団体関西二期会副理事長として多忙な日々で、他業界の関りも含め、果たすべき責任と役割に押しつぶされそうになることもありますが、声は自身の体が楽器です。コンディションキープはもっとも重要な要素です。今、私は歌うことにより心身のバランスを保ち守っていることに改めて気づかされています。
 私の声楽家としてのキャリアは40年になり、楽器としての肉体のピークは過ぎましたが、年を重ねることで伝えることのできる歌があり、後進に伝えていくべきこともあります。これからも与えられた必要とされる場所で心に届く歌を歌い、同時に指導をも行っていきたいと考えています。

斉藤言子 プロフィール 和歌山市生まれ。神戸女学院大学学長、音楽学部教授。大阪国際コンクール最優秀指導者賞、兵庫県学術教育功労賞、和歌山市文化功労賞、和歌山県文化功労賞受賞。
 

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音を描く、響きを彩る。黒江万金堂

本日付け。とらふすクラシック・79。
 音を描く、響きを彩る。黒江万金堂
       フルーティスト 岡本万貴

 演奏することが楽しくて仕方がない!音楽家としては当たり前のことのようですが、これがなかなか難しいのです、特にクラシックの本番においては。最近になってようやく、この自由な感覚が味わえるようになり、幸せを感じています。
 繊細で色彩豊かなギターの音色にフルートの命ある息を吹き込んでゆく。水の揺らぎが光となって部屋に差し込むそれに呼応するように、響きを、フレーズの揺れを、重ねてゆく。白いキャンパスにシンプルに筆を滑らせ、色をのせていく、時には立体的に。そんな感覚に似ています。
 五年前に、知り合いの老紳士に今は使われていない漆工場(現 黒江煉瓦堂)を見せていただきました。レンガ造りの広い空間。高い窓からは僅かな風の音と優しい光が差し込み、レンガのニュアンスを引き出している。気分が高ぶり、バッハの無伴奏パルティータを吹き続けました。そして次に思ったのが武満徹の「海へ」を、海にごく近く潮の香りのするこの場所で演奏出来たら幸せだろうな、て。ちょうどその頃ギタリストの金谷幸三さんと海南で初共演。そして昨年、念願のピアソラ「タンゴの歴史」全楽章演奏が叶い、金谷さんからの「武満の海へ。をやらない?」の誘いが、「黒江万金堂」結成のきっかけとなりました。黒江で生まれたギターとフルートのユニット、クラシックでありながら自由な精神で挑戦し続ける。この町とシンクロしているようです。
 黒江万金堂今シーズンのプログラムは、海から山へ。R・ビーザーの「山の歌」は雄大な自然を思わせる素朴な美しさで、黒江万金堂らしさがもっとも表れる曲。インドのシャンカール「魅惑の夜明け」は独特の香りが楽しめる。そして金谷さんが編曲の吉松隆のアトムハーツ・クラブ・デュオはまったくの遊びの世界。10月28日(日)14時〜、LURUHALLにて体感していただけます。ご予約は073−457−1022まで。または「黒江万金堂」で検索!

プロフィール
海南生まれ、相愛大学音楽学部フルート専攻卒業。2013年から3年に渡り黒江煉瓦堂にてクラシックコンサートを企画、出演。人の心に届く癒しの音を追求している。
 

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県立図書館と県民文化会館のコラボチケット

本日付け。とらふすクラシック・78。
 県立図書館と県民文化会館のコラボチケット
       和歌山ライブの歩き方 岩橋和廣

 東京藝術大学学長、ヴァイオリニスト・指揮者、そして和歌山県立図書館音楽監督の 澤和樹先生から、本コラムに75回と77回の二回にわたり、寄稿いただけたのは、大変光栄なことと思っています。二つのコンサートが、偶然にも同じモーツァルトのプログラムで、二日連続して和歌山で開催されるという滅多にない機会に、多くの皆さんに、クラシック音楽を楽しんでいただきたいという強いメッセージだと思います。

10月13日(土)午後7時、和歌山県立図書館メディア・アート・ホールで、Mah!ライブラリー室内楽定期演奏会 Vol.25、ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ・シュトゥットガルトが開催されます。ドイツで出会った日本人若手アーティストと、名門シュトゥットガルト放送交響楽団の精鋭たちが意気投合し結成したアンサンブル。モーツァルト・プログラムとシューベルトの八重奏曲です。全席自由席、前売3000円、当日4000円です。

 翌日の14日(日)午後1時30分、和歌山県民文化会館大ホールで、東京藝術大学特別公演”オペラへの招待状「魔笛」”が開催されます。この公演は、澤先生初のオペラ指揮で、東京藝大の教員と大学院生の歌唱、藝大フィルハーモニア管弦楽団、そして和歌山児童合唱団が加って、モーツァルトの代表的なオペラを、日本語字幕付きで演奏されます。全席座席指定で、前売2500円、当日3000円のチケットです。

 この二つのコンサートのお得なコラボチケットは、二つの演奏会5500円が、お得な5000円になります!和歌山県立図書館文化情報センター(073-436-9530)のみで取り扱いする連日割です。電話予約の上、13日会場受付で代金引換で2公演のチケットを受けとります。また13日公演の前売券、予約お持ちの方は、13日の会場受付で14日公演チケットが特別販売されます。ぜひこの機会に、連日の音楽三昧をお楽しみください!
 

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